2016年12月9日金曜日

大人数にマジックを見せる⑥‐3(気楽に練習・披露ができないこと)

この更新頻度低いブログにも関わらず、一定数ご覧いただいている方がおられるようで、ありがとうございます。

引き続き人の記事に勝手にコラボ第三段をやっと公開します。

⑪毎回同じネタでも構わない?
ピンで活動されている方ならそんなにネタは気にしなくても良いですが、元記事にある通り、サークルで活動している場合は、他の方とのネタ被りを調整する必要があります。
それを考慮すると、同じネタの方があまり考えなくてもネタ被りしなくていいと思います。特にサロン・ステージで活動されている方はそこまでネタを多く用意できないので、同じネタで良いと思います。
私の場合も最初の頃は違うネタを試していましたが、最近は客の反応とか反省を生かし、ほぼ固定ルーチンで、時間により演目を端折って調整するスタイルとなっています。
ただし、同じネタとはいえ、若干客層によりトークに変更は行っています。
大人向けには理解される内容でも、社会経験が少ない子供たちには理解されないストーリーとかもありますので、この辺は経験して、取捨選択していってください。

⑫音楽は流せるの?無言でも喋りネタでも大丈夫?
音楽は普通は流せます。CDラジカセ等の再生設備は依頼主側で準備お願いしています。無い場合は簡易の再生設備とポータブルスピーカーで演じる場合もあります。 
30分とかの依頼で音楽に合わせた演技とかは大変すぎるので、途中でしゃべりネタを入れたりします。
音楽なしで無言の演技というのは個人的には行ったことありませんが、パントマイム的要素を取り入れれば可能かもしれません。表現力が無ければ無言で演技するのはお勧めしません。

なお、最初に音楽は流せる、と記載していますが、厳密に言えば、JASRAC使用許諾関係の確認が必要となります。
JASRAC『音楽を使う方(演劇、漫才など)』に使用料規定(演劇、漫才、奇術、演芸その他の芸能の催し物における演奏)というpdfデータがあるので、そこを読んでください。
それでは無責任なので、筆者が大まかに示すと、【内容は2016年12月9日現在確認時点のもの】
 ・公演時間1時間以上2時間までの場合で、定員200名まで、入場料無料の場合、公演1回当たり1200円
・利用時間が5分までの場合、定員200名までで、入場料無料の場合100円
となっています。

JASRACへの使用許諾手続きは
①申込書類を作成
②申込書類の提出(開催日の5日前)
③JASRACよりの許諾書と請求書送付
④支払い
となります。

結構知り合いアマチュアマジシャンは平気で市販曲を使っていますが、JASRAC使用許諾手続きしている人は、コンテスト等に出る以外のボランティアでマジックする時には見たことがありません。
筆者の場合、順法精神に一応のっとり、フリー音源の使用許諾不要の物を編集して利用させていただいております。
法律が気になる方はJASRAC使用許諾取るか、筆者のようにJASRAC管理外の使用許諾フリーの音源を使っておくと無難です。ホテル等では原板以外のJASRAC使用許諾無い場合、音楽を流してもらえない場合もあるようです。

⑬火を使う演技をしても平気?
知り合いで火を使う演技をする人もいます。
実際には各市町村の消防許可が必要となります。これは消防条例が各市町村ごとに異なるので、様式等は演技実施するところで許可申請する必要があります。
例として
大阪市の火災予防条例HPのように各種申請用紙ダウンロードできますので、各消防署へ確認の上、必要届出してください。
これは個々に確認してみてください。おそらく、どの届が必要か教えてくれますので、 指定の様式に従い、記載してください。
届け出と消火器等の設備が必要になります。

 大きなステージとかでマジックのイベントを行う場合には消防へ届け出して、消火器等は主催者が用意したりするのが普通のようです。
しかし、上記ではあくまで条例上の建前で話していますが、こちらもボランティアでマジックする際には消防許可とか出しているようには思えません。
筆者の場合、火災のリスクありますので、ボランティアでマジックをするときに火は使わないようしています。

衣装はスーツや燕尾服の方が良いの?
これも色々ですが、所属サークルではスーツ、燕尾服、その他の専用衣装の方が多いです。理由は色々仕込みやすいというのと、雰囲気でマジシャンと思ってもらいやすいという点にあります。
もちろん私服でされる方もおられます。季節によってはコスプレになったりとかもありますので、観客に合わせた衣装で問題ないと思います。
ただ、スーツとかだとあまり考えなくてもそれなりの正装になるため、観客に不快感を与えるという心配はないのでお勧めです。
色合いは派手な黄色や赤い衣装もいいのですが、使っているマジック道具と似たような色になると演技が見えにくいため、黒っぽい地味な衣装の方が無難かな、と思います。
派手な衣装を使う場合は、使う道具も工夫して、衣装の補色になるような物を選ばないと、何の演技しているかカメレオンのように同化してわからないということになりかねません。


以上、建前的なことも踏まえてコメントしておりますが、法律関係も絡んでくる内容ですので、今後マジックされる方にはこういった関係の規定も知った上で、適切に対処いただくのを望んでおります。
(どちらかというと、maskedamaのような考えで行動している方がアマチュアマジック界では異端なのかもしれませんが)。

2016年10月20日木曜日

大人数にマジックを見せる⑥‐2(気楽に練習・披露ができないこと)

前回からの続きを『マジックでボランティア活動をするには
参考:http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n374996

のサイト様からお借りする勝手にコラボ企画としてお届けします。
maskedama所属サークルの例を継ぎ足せば、各サークルの実態が分かっていいと思いますので、比較しながら読んでみてください。

⑥何分ぐらい演技するの?(追記)
演技時間は10分から15分、20分、25分、30分と5分単位くらいで時間調整できるようにしておくと良いです。当然長時間のマジックになると、お客様と話しながら行うようなマジックで時間を延ばすことになりますが、あんまり長時間一人で行うと、どんな上手い人でも観客に飽きが出てきます。

⑦失敗したら他のメンバーの迷惑にならない?
たいていの場合は迷惑になりませんが、ショーのオープニングで失敗するのだけは避けましょう。最初から失敗してしまうと、結構グダグダのどうしようもないショーになる可能性大なので、オープニングマジックは失敗しにくい、自信のある演目にしましょう。
途中で失敗しても、観客からしたらわざとなのかどうか区別がつきませんので、そこで色々笑いを取ったりすれば、より楽しいショーに仕上がったりします。

⑧現場(公演場所)までの移動手段は?
自動車の人と電車とバス等公共交通機関利用の人が混在しています。 割と都市部だと公共交通機関も存在するので、そこまで不便はないですが、たまに駅から遠い場合はお願いして迎えに来ていただいたりする場合もあります。(デイサービスとかでは送迎用の車両を持っていることが多いため、お願いすると結構な割合で最寄り駅まで迎えに来てくれます)。無理な場合はタクシーで移動となりますが、めったにタクシーまで使うことはありません。

⑨荷物(マジック道具)は多く持っていっても大丈夫?
持っていけるのなら多く持って行っても大丈夫です。自動車移動の方は結構あれこれ荷物多いようですが、公共交通機関移動組は体力的にしんどいので、キャリーバック1個程度に納まるくらいの道具でマジックを行っています。なので、マジックネタ購入時にはバックに入るサイズ、コンパクトになるかどうかも重要なポイントとなります。
自動車移動なら別にイリュージョン道具を持って行っても構わないでしょう(アシスタントいないとできませんが)。


⑩得意なネタをどんどん披露して良いの? 
もちろん得意なネタ、良く練習したネタを披露してください。得意でないネタや新ネタは、得意ネタの合間に実験的に入れるようにして経験値を上げて行ってください。
当然複数で出演する場合はネタ調整しないと、同じような演目になってしまいます。
とあるイベントでは私の前に他のマジックサークルによるショーが行われることが下見の時に判明し、他サークルの演目を事前に教えてもらえるようお願いしたことがありました。屋外イベントだったため、ものすごいネタ被りしていて、制約あって大変な思いをしました。なので、イベント出演時、他にマジシャンの出演あるかどうかを確認しておいた方が良いです。(普通の方はマジックショーが同じイベントに2回存在することの大変さを全く気付いていません) 

得意ネタを披露しても、客層によって反応異なることありますので、その辺りは客層を考慮して、自分のやりたいネタではなく、客の理解出来るネタにする必要があります。

※お年寄りにカード当てとかで覚えさせるのは止めておいてください。 覚えるのが大変です
※音が出たり、血が出たりとか手に蜘蛛がくっつくようなギークマジックはたとえ自分が好きでも、あんまりお客さんに対して望ましくないので止めておいた方が無難です。
※得意なネタとは言っても、手順構成を考えずに適当に道具を持って行って適当にマジック演じてしまっては、ショー全体としての印象が弱くなります。ちゃんと起承転結、序破急考えてやりましょう。 驚き+驚き+驚き+驚き では単調になるので、コメディー系の息抜きも入れた方がショーが盛り上がります。
※全員が受けるマジックショーというのはとても難しいですので、反応が多少悪くても、演技中は気にせずマジック続けてください。終わった後に反省して今後の演目構成どうするか悩んでみましょう。

また次回に続きます。 

2016年9月29日木曜日

大人数にマジックを見せる⑥‐1(気楽に練習・披露ができないこと)

大人数に見せるようなサロン・ステージ系マジックを練習するのは、⑤で示したような全身見られて練習するような機会を持ちにくいということを上げました。要するに、練習してそれをフィードバックするための場が持ちにくいのがアマチュアマジシャンの実態です。
さらに、困難なのは、こういったサロン・ステージ系マジックを見せる場が少ないことです。もちろん、マジックしていて、マジック見せて、という人は出てきますが、いつも同じ人にマジックを見せるとなると、クロースアップマジックなら、カードマジックとかであれば、いくらでも新ネタ披露できますが(とはいっても限度はありますが・・・)、サロン・ステージ系マジックの場合、特に音楽に合わせたような内容は簡単には作り上げることが出来ません。(これは別にステージ系マジックがクロースアップマジックより上、と言っているのではなく、クロースアップマジック自体が即席性を重視したエンタテイメントであるためです)。

よって、サロン・ステージ系アマチュアマジシャンとしてやっていくには、違う人から次々と依頼を受けないと、同じ演目を見せられないため、上達できないのですが、違う人からそんなに次々依頼を受ける環境にありません。
その点、プロマジシャンは違うクライアントから大量のオファーを受けるため、同じネタの練度を高めることができ、クオリティーが良くなり、さらに追加依頼を受ける、という好循環が起こります。

なので、アマチュアマジシャンがステージ・サロン系マジックを披露する場がないという点を解決する必要があります。
これは
①どこかのステージ・サロン系マジックに所属して、依頼を受けた先でマジックを披露させてもらう
②自分で営業してマジックショーの出演依頼をもらう
ということが必要になります。

①については、同様のことを考えて、実行に移した人がいて、 
『マジックでボランティア活動をするには
参考:http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n374996
というYahoo知恵袋のノートを記載されています。執筆者は名古屋の方のようで、おそらく、名古屋のあのサークルではないか、という目星はついておりますが、結構同意できる点が多いし、役に立つ記事だと思います。
こちらのノートの作者のサークルについての部分はマジックサークル選択する際にも役に立つと思うため、急きょ予定を変更して、私の所属サークルの場合も真似して書いてみることにします(人のふんどしで相撲を取る記事です)。

サークルの入会費・継続費は必要?
これもサークルそれぞれのようです。マジック教室やレクチャーするサークルでは月謝必要ですが、私の所属サークルでは会費ゼロで、集会の会場費用を参加人数割で徴収しています。会費制にすると金管理が面倒なため、いつもニコニコ現金払いで、宵越しの金はサークルとしては持っていません。

サークルにはどんな人がいるの?
これもクロースアップ系メインか、サロン系メインかで人口分布が相当変わります。サロン系メインだと、ほぼ定年退職後の方メインのようになります。クロースアップ系メインのサークルは存在しているのでしょうが、そんな大規模では無いようです。比較的年齢層が若く、学生さんも多数いたりします。
ちなみに私の所は20代~50代サラリーマン、自営業の方、定年退職された方と年齢層は広めですが、学生さんはめったに来ません。

マジックは沢山出来ないと駄目?
もちろんたくさん出来るに越したことはありませんが、トークが得意人なら喋りだけでも十分ですし、タレント級のルックスに自信のある方なら、マジックせずに、もはや最後に決めポーズ決めるだけでも受けます。
そうでない方はある程度マジックも練習された方が良いでしょう。
サロン系マジックの依頼を受けた場合なら5~10分(1~3ネタ位かな?)くらいこなしてもらえれば、他の人が穴埋めしてくれます。

お金は貰えるの?
これも調べると、ボランティアと言っても交通費は別途、とか、交通費も自腹で行く、とか色々定義があるようですが、交通費辺りまで支給いただく分にはボランティアの許容範囲のようです。
所属サークルでは交通費は必要と明言してあるので、もらう費用は行き先の距離にほぼ比例します(プラスαある場合もまれに存在しますが)。一応300円から15000円くらいまではもらったことがあります。他の人ではもっともらったことのある方もおられるようです。お茶、お菓子は結構いただくことが多いですし、お土産をいただいてしまうことも割とあります。

どんな所で披露しているの?
これも知恵袋の作者のサークルと同様です。所属サークル実績を書きますと、
保育園⇒ありました。
小学生低学年~高学年が集まる子供会(小さな公民館や広い体育館だったりします)⇒ありました。
婦人会⇒ありました。
デイサービス(老人ホーム)⇒ありました。
中古車ショップでのイベント⇒ありました。
イオン(大型スーパー)のイベント等⇒イオンではありませんがありました。
これ以外に、学祭、企業イベント、結婚式(もちろん全然無関係の方のです)といった依頼がありました。
一番多いのはデイサービス等の高齢者向けイベントでした。 


何分ぐらい演技するの?
もちろん依頼者により異なりますが、所属サークルでは15分から、マジックレクチャー込で2時間といったものまでありました。
多いのは30分までのものですが、1人当たり15~30分くらいの演技で行っています。30分くらいだと1人か2人か出演者の都合と必要交通費考慮して決めています。
慣れないうちは5分くらいで体験してもらうような形をとっています。


何か脱線部分が想像以上に長くなったので、さらに次回以降に続けます。


2016年9月28日水曜日

大人数にマジックを見せる⑤(全身を見られるということの練習が難しいこと)

クロースアップマジックでは、どちらかというと、見破ってやろう感満載の、目と鼻の先で奇跡を起こすので、結構技術面が上手くないと、マジックになりません。そういう意味では非常に厳しい環境にあります。
しかし、どちらかというと、手先の器用さ、ミスディレクションのタイミング的なもの、トークしながらの動きをマスターしてしまえば、多少挙動不審な動きをしていても、皆が手先に集中しているため、あまり問題になりません。

サロン系マジックとか大人数の前でマジックを行う場合、マニピュレーション系のバリバリ技術力が必要な演目以外では、どちらかというと、技術的難しさは低いです。その代り、大人数に見せる場合に、観客に指示したいことや、見てもらいたい現象を身体だけで表現することは非常に困難です。もちろん、市販のDVDを真似て練習すれば、不思議と思われる現象を再現することはできますが、それだけで素晴らしいマジックになるかというと、なりません。
対象となるものを指し示し、今から現象が起こるよ、というところで体を止め、体の体重移動をするときも、滑らかに動いているように見せながら、なおかつ、ちょっとオーバー目にアクションを止めてから注目を集め、現象を起こす、ということをしないといけません。これを適当に現象だけ素早い動きをしてしまうと、観客からは早すぎて何が起こったか現象を消化しきるまえに終わってしまうことになりかねません。

こういった全身の動きを一人でマスターすることは非常に難しいです。 なので、全身を見てもらって練習するには
①他のマジシャンに見てもらって練習する
②全身鏡のあるダンススタジオ等で練習する
③動画に撮影して自分で反省しながら練習する
という方法を取る必要があります。

言うのは簡単ですが、実際に①~③の環境を用意して練習することは困難を伴いますので、サロン・ステージ系マジックを行う人がクロースアップ系マジシャンに比べて、アマチュアの分野では少ない理由となっています。

2016年9月27日火曜日

大人数にマジックを見せる難しさ④(持っていくのが大変なこと)

あなたはマジックの道具を購入するときどうしているでしょうか? 実店舗の実演を観てから購入しているでしょうか、それとも、ネットショップで演技動画を観て購入しているでしょうか。ステージ系マジックの場合、ショップで実演するには距離が足りなかったり、消耗品を使ったりするため、してもらえないことがほとんどです。よって、ネットショップで動画だけ見て購入すると、色々問題が出てきます。角度的制約が大きく、自分が演技する場所では使えない、とか、準備が大変すぎて使えないとか出てきます。

あと、実際に人前でマジックする経験のない方には分からないでしょうが、道具のサイズは
①家から現地への移動
②現地の控室から演技場所への移動
③保管スペースの確保
④練習する際のサイズ感の確認
等を気にする必要があります。

①について、自動車で移動する人なら、多少荷物の数が増えても問題ないでしょうが、電車やバスで移動する場合、持っていける荷物に限度があります。なので、道具を購入する場合には自分のカバンサイズと道具の縦横高さ寸法を確認しておかないと、良い道具なんだけど、カバンに入らない、ということが起こります。
またサイズは入っても、重い道具だと、キャリーバック転がすだけでも結構大変です。
たいてい大人数にマジックを見せる場合は複数のマジックを行う必要があるので、パックスモールプレイビック、という荷物少なく、大きく見える演目を行うよう心がける必要があります。
とはいえ、そういった演目は他のマジシャンもレパートリーにしている場合も多いため、小さくなるけど、技術的に難しいとか、お金がかかるとか、道具自作しないといけないとか、技術は不要だが結構色々手順覚えることがあるとか、人の選ばなさそうなものを選択肢に入れる必要があります。

②については実際にやってみないと分からないことですが、控室から会場が遠いことや、階段上り降りしないといけない場合があります。特に屋外会場の場合、控室は室内の会議室とかなので、ひどいときは100mくらい道具を持って移動しなければなりません。テーブル2つくらいなら気合いで持っていけないこともないですが、それ以上道具が増えると、一回で会場まで持っていくのは難しいです。なので、マジックテーブルでもキャスター付きのものにしたり、市販のワゴンを利用したり、と機動力のあるテーブルを準備した方が良いです。どうしても余分にテーブル必要な場合は、折りたたみできるフォールディングテーブルという物を使ったりしますが、結構ふにゃふにゃなので、バランスは悪いです。

③ですが、これは普通にキャリーバックで持っていけるようなものならまず問題はありませんが、イリュージョン道具を勢いで買ってしまった、というような場合は、相当場所を取ります。
普通のサロンマジック用の道具も本能の赴くままに購入してしまうと、そのうち、他のマジック道具に埋もれてしまい、日の目を見ることのなくなってしまう道具も多数です。最終的には既に購入していることすら忘れてしまい、もう一度同じ道具を購入してしまったりすることさえあります。

④も、普段は折りたたんだりしてコンパクトでも、広げると結構場所を取るものも存在します。そういう道具を使ったマジックを練習する場合、スペースが少ないと、広げて通し練習することも一苦労です。
まあ大きなおうちやダンススタジオみたいな全面鏡張りの部屋をお持ちであれば、問題はありませんが。


こういうことを気にしながらサロン・ステージ系マジシャンは荷物を準備しているので、表現できるマジックの現象と物理的移動困難さのバランスを取りながら、現象面を犠牲にしてマジックショーを行っています。
アマチュアマジシャンでもそういった制約が無ければ、鳩でも九官鳥でも出しまくり、美女を浮遊させたり、かごから美女を出現させたりとか何でもできるのですが、理想は半値八掛け以上のディスカウントで人前にてマジックを見せていくこととなります。


もはや何の話か分からないですが、コンパクトで、テーブル一つに載せられる範囲の道具でマジックをしないと、ステージ・サロン系マジックで人前にて見せるのは一人の力では困難だ、ということです。

2016年9月26日月曜日

大人数にマジックを見せる難しさ③お金がかかること

多かれ少なかれ、どんな趣味でもお金はかかるものです。楽器でもピアノも最初は電子ピアノとかでもいいでしょうが、本格的に演奏家への道を歩むなら、超高価なグランドピアノを購入し、著名な先生に高い謝礼を払い教わったりするので、とてつもないお金がかかります。
フィギアスケートなど、日本にスケートリンク自体ほとんどないため、施設費だけでも馬鹿にならず、金持ちのスポーツとなっています。
しかし、マラソンやジョギングのようにシューズ代にせいぜい大会参加費さえあれば、後は個人の練習努力のみ、といった分野も存在します。

マジックの場合、クロースアップマジックにするかステージマジックをメインにするか、サロンマジックを選ぶかでかかる費用も変わってきます。

クロースアップ
コインマジックなら、最初にシルバーハーフダラー数枚購入しておけば、それ以外ギミックコインに走らなければかかりません。(もちろんDVDや書籍は必要に応じて購入必要ですが)。
カードマジックの場合、バイシクルトランプを用いると、1デック400円~600円程度はかかるので、カードの傷みやすい技法やフラリッシュを行いたい場合、毎日練習すると2~3日に1デック消費する人もいるでしょうが、そんなハードなことをしなければもう少し長持ちします。
ということで、クロースアップマジックは比較的お金がかからず、若い人の愛好家も多いです。

ステージマジック
ピンキリですが、大舞台でのステージとなると、それなりの見栄えのする道具と衣装が必要になります。
マジック用のテーブルでも市販品で3万円以上したりします。シルクのハンカチとかも60㎝角や90㎝角の大きなものだと1枚1000円程度したりするので、大量に使うと、消耗品なので、結構財布に厳しくなります。ちょっとした取り出し道具やプロダクション手順物を購入するとすぐに万札が飛んでいきます。
イリュージョンになると頭に剣を刺すヘッドレスクィーンやフローティングテーブルとかが安くて3万程度、チェアーサスペンションやヒンズーバスケット、リングイリュージョンといった物が比較的大き目のイリュージョンとしては安く、10~20万程度、プロの使うようなファイヤーケージ、人体浮遊、その他本格的イリュージョンだと、50万くらいから数百万、1千万を超える物も存在します。もちろんイリュージョンの場合、移動がトラックとなりますので、輸送費も馬鹿になりません。
この辺りのことについては私も大雑把なことしかわかりませんが、 アシスタントも雇う必要が出てきて、いくらお金があっても足りません。よって、イリュージョンはほぼプロマジシャンしか行わないのが実態です。

サロンマジック
こちらもステージマジックでイリュージョンや照明等を使わない程度の大き目のマジックが対象となります。
やはり道具は大きめなので、クロースアップで使用するものよりは高めとなります。
マジックテーブルを自前で用意して、それなりのマジシャン風スタイルで演技する場合は、テーブル、トップハット、それなりの見栄えのする道具数点揃えて30分くらい演技しようとすれば、10万近くは覚悟しておかないといけないでしょう。
しかし、お金があまりなくても、ロープ、新聞紙、カメレオンシルク、ポケットリングくらいで立ってマジックすれば、サロンでも十分通用し、テーブルも会場で長テーブル用意してもらえば、3000~4000円くらいで30分くらい演技することも可能です。


結論的な内容はありませんが、いかにもマジシャンらしく、しかもよくTVで見るような派手な内容でマジックを大人数の前で見せる場合には非常にお金がかかりますが、工夫すれば、安くで大人数にマジックを見せることは可能です。ただし、その分、あなたがイメージしている格好いいマジシャンとして、周りから注目を浴び、モテまくる、というスタイルからはほど遠くなるでしょう。
お金が無ければ、やるマジックを色々工夫するなり、同等品を100均にて購入して自作するなり、自助努力を行ってください。

2016年9月25日日曜日

大人数にマジックを見せる難しさ②趣味人口が少ないこと

手品が趣味という人は実際どれくらいいるのでしょうか。手品を多少なりともなんかできる、という人は意外といるような気もしますが、どっぷりとマジックに入り浸って、人前でも堂々とマジックを見せています、という人になると激減してしまうような気がします。
政府の趣味調査等があればいいのですが、実際には手品、という項目は存在しておらず、不明です。
カードゲームという分類で推定9万8千人とのことのようです。
参考:http://h.magician.tokyo/2014/01/hobby-is-magic.html

他に、マジック人口の推定をしているサイトで、147,000人という数値を出している所があります。
参考:http://ishiken55.exblog.jp/24846758/

非常識なマジック入門講座としてもフェルミ推計を行い、マジック人口を予想してみたいと思います。

①マジックショップ生存状態からのマジシャン人口推計
本ブログにて紹介しているネットショップは24ありますが、実際にはこれ以外のマジックショップもあるし、休止中のマジックショップもあります。現在、マジックショップ専業で成り立っていると予想されるショップは約30程度と予想されます。
売り上げの大きなショップも存在していますが、ほとんどが個人経営に近い状況と考え、年間粗利800万円と想定します(家賃、アルバイト代、光熱費込み)。マジック商品をメーカーからの卸販売メインと想定すると、せいぜい粗利率30%程度と想定し、平均ネットショップ売り上げは 800万円÷0.3≒2667万円
これが30ショップあるので、ネットショップ業界年間売り上げは
2667万円×30≒8億円
クロースアップ含め、趣味としてマジック道具購入に掛ける金額を年間1万円と仮定しても(トランプ購入やコインマンのように一度買うとあまり物を買わなくて済む人も含んでいると仮定)
8億円÷1万円/人=8万人 
ということで、活動しているマジシャン数は10万人切るレベルだと予想されます。金のかかるステージ系マジシャンの数はさらに少数派だと予想されます。

②マジックサークル数からのステージ・サロン系マジシャン人口推定
関西奇術連合会という、ステージ・サロン系マジックを行う団体があります。
参考:http://www.kankiren.jp/dantai/dantai.html
こちらの正会員で、 近畿二府四県に存在すると思われるサークルは42個あります。もちろん、未所属でステージ・サロン系マジックを行っている所も私の所属しているサークル等存在していますが、仮に42個のサークル平均20人在籍と仮定し、
42×20=840人
となり、まあおおざっぱに1000人くらいステージ・サロンマジシャンがいると推定できます。
2015年国勢調査で近畿二府四県人口は 約2073万人
2016年日本の人口は約12700万人ですので
参考http://www.stat.go.jp/data/jinsui/
参考:http://blog.livedoor.jp/veritedesu/archives/1911292.html

近畿二府四県の約6倍の人口が日本の総人口となります。
これより、ステージ・サロンマジシャン人口は
1000×6=6000人 
程度いるのではないかという推定となりました。

①②より、ステージ・サロン系マジシャンは
6000÷80000×100=7.5(%)
ということで1割を切る程度の少数派ということが予想されます。



このようにステージ・サロン系マジシャンの人口と割合を推計してきましたが、これだけ人口が少なそうだと、ステージマジックのサークルや趣味でやっている知り合いを見つけるのは相当困難だということです。
しかも、上記に挙げた関西奇術連合会に所属しているサークルでもHP持っていないところも多く、連絡先が良く分からないところさえあります。
なので、適切なHPを作りさえすれば、それなりに参加したいという人から連絡来る可能性が高いですが、ステージ系マジックサークルは平均年齢が高いようで、HP作成の敷居が高いようです。よって、大人数に見せるための依頼を受けるサークルを作りたい場合はHP作成し、活動をまめに記事にアップしてSEO対策すれば、それだけで地域No.1の目立つマジックサークルが出来上がります。

興味があったり、人気記事になるようでしたら、その具体的方法についても秘密を明かしたいと思います(人気無いようなら、書くモチベーションも上がりませんので作成しませんが)。

2016年9月24日土曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第12巻) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

さぼりにサボりまくった人前で見せるための資料が少ないことDVD記事シリーズもやっと『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第12巻) 本格カードマニピュレーション編 ということで最終巻に辿り着きました。
いわゆるミリオンカードと呼ばれる、手からトランプがいっぱい出てくる本格的なステージカードマジックの解説となります。実際に解説されても、手が慣れるまで時間がかかるため、すぐに実演できるわけではありませんが、マスターすれば、マジックショーで引っ張りだことなるでしょう。 
技法の説明が種そのもののようになってしまうので、ちょっと言いにくいのですが、実際に動きを見ないとできないからネタバレではないということで、良しとしておきましょう。


・カードマニピュレーションについて
・使用するカードについて
実演時にはろうを塗った専用の薄いカードを使いますが、練習時には手の筋肉を鍛えるため、普通のBicycleのカード等を用います。
・ファンカード技法のおさらい
第3巻で学んだファンカードの技法を復習します。

ステップ1 バック&フロントパーム
・バックパーム
ミリオンカードの基本中の基本となる技法です。読んで字のごとくの技法です。
・フロントパームへの移行
バックパームの状態からフロントパームへ移す練習を行います。
・小手返し
バックパームからフロントパームへの移行を利用することにより、手の裏表にカードが無いことを示す技法です。
・カードの出現方法
バックパームした状態から、カードが突然出現したように見える方法を3種類説明しています。
・1枚での練習方法

ステップ2 複数枚のバック&フロントパーム
・1枚ずつのバックパーム
カードを次々にバックパームしていく技法の説明です。
・1枚ずつの出現
複数枚バックパームしたカードを1枚ずつ取り出していく技法の説明です。
・ファンの消失・出現
片手正ファンに開いた数枚のカードをバックパームし、またファン状へ広げて出現させる技法の説明です。
・複数枚の小手返し
複数枚のカードをバック・フロントパームすることにより小手返しするとカードがずれてきます。それを防止するための説明が行われています。 
・複数枚での練習方法

ステップ3 様々な技法
・クラシックパーム
カードを1枚デックからクラシックパームする方法が説明されています。
・テンカイパーム
ジャンボコインを隠すのに良く用いられますが、カードでも展開パームを用いることがあります。
指先から1枚テンカイパームの位置へ持ってくることもできます。
・プレッシャーパーム
3本の指と親指で圧力掛けながらパームする方法です。展開パームの位置への移動が可能です。手の甲からは見えなくなっています。
・フィンガーホールド
テンカイパームから逆の手に渡す時に持つ持ち方として使われます。
・ピポット・カード・バニッシュ
左手の中にカードを入れて行きますが、左手からカードが消えて、別の場所から右手よりカードが出現するという、一種のフェイクパスです。
・バードケージバニッシュ
鳥かごの消失のような形で両手でカードを持ちながら、カードを消す技法です。
※技法関係はネタバレ防止のため、わざと分かりにくい説明のままにしておりますので、ご了承ください。 
・技法の練習
基本はバック&フロントパームからの流れで練習します。

ステップ4 手順の実際
・空手カード
選んでもらったトランプを元のデックに戻してもらいます。トランプを空中に投げて一枚カードをマジシャンがつかみます。そのカードが観客の選んだトランプです。トップパーム、フロントパーム、バックパームから、1枚出しの技法を利用して客のカードを出現させます。
・6枚カードの手順
6枚のカードを一枚ずつ消していきます。全部消した後、1枚出現させると、残り5枚は反対の手から出現します。
6枚のトランプをピポットバニッシュした後、ファンにします。だんだんファンが小さくなってきますが、最後はファンがシルクに変化してしまいます。 
昔からある手順は5枚カードと呼ばれるものですが、カズ・カタヤマ氏が新たに手順を構築した物です。準備も少なく、コンパクトですが、サロンマジックで演じられる手順となっています。

ステップ5 ミリオンカードの基礎
・スプリットファン
 ミリオンカード用の薄いカード20枚くらい使って行います。ファンに広げたカードが次から次へと捨てても出現する技法です。ミリオンカードの基本的技法となります。相当練習が必要です。
・シルクからのファンの出現
ポケットから取り出したシルクよりカードがファン状に出てきます。ファンを捨てても捨ててもファンが出てきます。 
スプリットファンを使ったミリオンカードの原型的演技です。
・左手からの1枚出し
カードを両手から出そうとするのに、左手から素早く出すための技法が説明されています。
・ワンデックでのミリオンカード
前半は第3巻で解説されていたファンカードの手順を基に組み立てたルーチンで、後半は両手から1枚ずつカードを取り出した後、ファン状で両手にカードを出現させて終わります。
ミリオンカードの練習用手順ですが、本格的なミリオンカードとなっています。
実際にショーやコンテストで手順を組む場合、もう少し色々な技法やカードの補充を行う必要出てきますが、本ルーチンをマスターすることが入門者にとってミリオンカードをマスターするための目標とすればよいでしょう。

“ステージマジック基礎講座⑫”はステージマジック上達十ヶ条となります。
内容は色々説明されていますが、練習することはもちろん、舞台での見た目や印象を上げるための工夫が挙げられています。
人の真似やパクリは絶対やめましょう、と強調されています。本シリーズのマジックを参考にしながら自分なりの工夫を凝らすことの大切さが述べられています。
またマジック以外の芸能についても興味を持ち、幅を広げよう、ということも大事であると主張されています。

結局、マジックは既存の道具や動画、書籍を参考にすれば、何となく形にはなりますが、自分の頭を使って表現することをしないと、別にマジックする人があなたでなくても誰でもいい、ということになり、個性という物が無くなってしまうように思います。
受けるネタを買いあさり、それで演技するのも良いですが、人前で演技して、色々な良い反応や凹むくらい厳しい反応を受け、それを基に反省していき、自分だけのマジックを構築して、大人数にマジック見せることを楽しんでください。

そのための有力な資料が『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』シリーズ12巻であり、これをそのまま演じる必要はありません。
マジックは奥深くて人前で演じるのが嫌になることも出てきますが、くじけず、頑張ってみてください。 

2016年9月23日金曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第11巻) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第11巻)は本格スライハンド四つ玉編です。

四つ玉と言えば、19世紀末にフランスのボーディエ・ド・コルタというマジシャンが発明したジャンルですが、現在ではシェルと呼ばれるギミックを利用して様々な技法や演出方法が開発されてきました。様々な手先の使い方、角度の使い方、表現方法が学べるマジックのため、かつてはマジック入門用として四つ玉が用いられたりしました。

日本の大学生による、いわゆる学生マジックというステージマジックの分野では今でも見かけますが、その他アマチュア、プロマジシャンで演技する人は少なくなりました。理由は難易度が高く、練習量が膨大に必要なこともありますが、どちらかというと、角度の制約が大きく、演技場所の制約が大きいことが挙げられます。
難易度に関していえば、昔の木製の滑りやすいボールから、現在ではシリコン製の滑りにくい素材の物も開発されており、取り扱いやすくなっております。

本DVDでは四つ玉の基礎から学べるよう、基本技法から基本手順、応用手順、ケーンを用いた発展手順というように、カズ・カタヤマ氏が組んだルーチンが説明されています。メインは3ボール1シェルの内容となっています。ダブルシェルやトリプルシェルといった発展技法については説明されておりませんので、他の資料に当たる必要がありますが、実際にアマチュアが実演する場合は本内容をマスターすれば、十分本格的マジシャンとみなされるでしょう。

ステップ1 基本編
・基礎知識
四つ玉の色やサイズについて等、基本的な知識の説明をしています。 
・基本技法のおさらい
第4巻(パーム)、第7巻(フェイクパス)というのが説明されていましたが、ボールに関してそれらの技法のおさらいをします。
・シェルとその扱い方
四つ玉マジックの基本ギミックであるシェルを自然に見えるようにできる扱い方について説明しています。
・シェルによるボールの増減
シェルを利用してボールを1個から2個へ増やしたり2個のボールを1個に減らしたりする技法の説明です。
・シェルへのロードとスチール
 シェルにボールを送り込むための説明です。これができると、一つのボールが最終的に4つに増える四つ玉の基本手順となります。現象を起こす時も一方向だけでなく、正面でも行うようすると、演技に変化が出ます。
・見せ方と立ち方
四つ玉はボールを横に持ちますが、立つときは正面を向くようにする必要があります。
・(手順1)四つ玉基本手順
一つのボールが二つに増えます。体や手、肘を貫通しながらボールが移動しますが、ボールが二個、三個、最終的には四個に増える手順です。入門者向きの練習手順です。
・テーブルを使わない方法
テーブルを用いず、ポケットにボールを入れておいて行う方法の説明です。基本的流れは(手順1)と同じです。
・減少していくボール
片手に四つ持ったボールが一個ずつ消えていき、最後にはボールが無くなる手順です。(手順1)とは逆の現象です。
・シルクになるエンディング
四つ玉の移動現象を行い、最後に移動したあと、ボールがシルクに変化しています。

ステップ2 応用編
・シェルのあらため
シェルを使ってボールを2個に増やし、裏面も改める技法です。ボールを落としやすいため、結構練習が必要です 
・ (手順2)四つ玉応用手順
シェルのあらためを用いた四つ玉の応用手順となっています。3ボール1シェルの手順ですが、1個のボールが4個まで増え、そのボールがまた1個に減り、最後は一気に4個のボールになります。
第1段から第3段にて構成されていますが、基本手順と比べて、難易度激ムズです。この応用手順ができれば、裏表改めや一気に4個に増やしたりできるため、マニアでも不思議な感じがするでしょう。もはや入門講座とは言えない動きとなっています。
おそらく、全12巻のマジックの中で最も難しく、練習が必要だと思われます。

ステップ3 発展編
・(手順3)ケーンとボールの手順
ケーン(マジシャンのよく使うステッキ)が白と黒のハンカチに変わり、白いハンカチからボールが出てきます。シルクの後ろからボールが次々出てきます。四個のボールが一個になり、再び瞬時に四個に戻ります。ボールを捨てて最後の一個がシルクのハンカチになり、それが最終的にケーンになって終わります。
ケーンとシルクを用いることにより、四つ玉だけの単調さを補い、十分プロマジシャンのトリにも使える手順となっています。実際にカズ・カタヤマ氏が舞台で演じている内容を踏まえて再構築されているようです。
・バニシングケーンの扱い方/・アピアリングケーンの扱い方/ケーンの回し方
バニシングケーン、アピアリングケーンのセッティングについて説明されています。 意外と道具は持っていても、きちんとした説明は少ないため、貴重な映像資料となっています。また、ケーンをきれいに回転させる方法が説明されています。


“ステージマジック基礎講座⑪”はマジックショーにおける手順の構成となっています。初心者の場合はあまり長い時間マジックを行うのは好ましくないですが、実際にマジックショーの依頼を受けて行う場合、10分や20分演じる必要が出てくるため、複数のマジックを組み合わせてショーを構成することになります。
ただ、上手くなっても、適当にできるマジックを連続して行えばいいというものではありません。日本でマジックショーを行う場合、起承転結を考えて、オープニングは分かりやすい物を選びます。最初のマジックでマジックショーの命運が決まりますので重要となります。次にそのマジックの流れに乗ってマジックを行います。慣れてきたら、トークマジック等で変化させて、飽きさせないようします。最後にトリネタとなり、全体を締めくくる派手な物やボリュームのあるマジックを行います。マジシャンを象徴するような盛り上げるマジックを選びます。
今までに習ってきたマジックを具体例に挙げ、構成について説明されています。
BGMを掛けて行うマジックは15分程度が限界であり、それより長くなると、トークマジックを行っていく必要が出てきます。しかし、不思議だけでなく、お客さんが興味を引きつけられる内容にしないといけないですが、この辺はマニュアル的に決まったものはなく、マジシャンそれぞれ実演を経て、経験を積んでいき、自分なりのマジックショーを構成していかないといけないでしょう。


本シリーズも後半になるとだんだん難易度が上がって来ますが、人前で見せるマジックを習う上では役立つ情報が満載だと思います。
 

2016年9月21日水曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第10巻) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第10巻)は
本格スライハンドシンブル編 となります。

入門講座シリーズも後半になると本格的なスライハンドシリーズが続きますが、意外と基本的なスライハンドを入門から教えてくれる動画は少ないです(もちろん存在はしているのですが)。

今回はシンブルという、元々西洋で指ぬきとして使われていた物が現在ではマジック専用の物が製造された物を使います。

シンブルは比較的安価で、角度にも強いので、実際にサロンマジックの演目としては優れていると思います。
学生マジックでも割と見かけますが、結構大舞台の場合、現象自体はカラーチェンジなどわかるのですが、扱う物が小さいだけに、地味に感じられてしまいます。
シンブルならクロースアップでもできるはずです(やる人はあまりいませんが)。

シンブルの基本技法
人差し指にはめたシンブルのパーム各種の説明から始まり、1本のシンブルを消す、基本的なシンブルの消失・出現方法、握り取ったはずのシンブルが、両手に無いことを示す改めが説明されています。体の向きや角度を注意しながら行うことについて細かく説明されています。
練習手順1として、1本のシンブルを出したり消したりして、最後に白いシルクのハンカチになる手順が説明されています。
 
シンブルの基本技法の応用
・リテンション効果の消失法:右手のシンブルを左手で握ったはずなのに、左手から消える方法の説明です。
・親指でのパス:右手人差し指にはめたシンブルを左手に完全に握ります。右手は空であることを示しますが、左手の甲を撫でていると、右手人差し指からシンブルが再び出現します。
・ハンカチの中での消失・出現:ハンカチの中に取ったはずのシンブルが消えます。左手にハンカチを掛けると、消えたはずのシンブルが左手人差し指に現れます。
・ハンカチを貫通するシンブル:人差し指にシンブルをはめた状態でハンカチを掛けます。しかし、ハンカチを貫通してシンブルが出現します。 
・練習手順2: 基本技法の応用で学んだことを手順化したハンカチとシンブルの手順です。最後にシンブルが4つ指に出現します。
 
カラーシンブル
・逆手での消失法:左手の親指を下にした状態で右手のシンブルを上部から裏側へ取るような動きでシンブルを消失させます。
・カラーチェンジ1:右手の人差し指を左手に握ります。左手から右手を外すと、シンブルの色が変わっています。
・カラーチェンジ2: 逆手を使ったシンブルの色変わりです。
・練習手順3:カラーチェンジの手順です。白いシンブルが赤に変わります。シンブルがさらに青⇒黄⇒ピンクと次々変化していきます。最後には各種カラーシンブルが右手4本の指に出現します。
カラフルで美しい手順です。

複数のシンブルの取り扱い
・シンブルのエクスチェンジ:人差し指のシンブルを取ってポケットに入れても次々と人差し指から出現してきます。
・飛行するシンブル:シンブルが右手、左手と行ったり来たりします。最後は右手から四本のシンブルが出現します。
・四本の再出現:四本のシンブルを帽子の中に捨てますが、再び四本のシンブルが出現します。
・練習手順4:シンブルのエクスチェンジ、飛行するシンブル、四本の再出現を組み合わせた手順です。四本シンブルの本格的な手順となっています。 

ホルダーとその応用
シンブルを保持するための小道具をホルダーと言います。各種ホルダーの作り方から扱いについて説明されています。

ステージ用参考手順
練習手順1~4とホルダーを利用してステージ用に構成した5分ほどのシンブルルーチンとなっています。シンブル19個使います。シンブルだけで5分の演技となると、ちょっと長い気もしますが、最後は四本シンブルの再出現を繰り返しながら、両手にカラーシンブルが現れるという、格好いいルーチンとなっています。
好みに合わせてルーチンを組みなおしていくと良いでしょう。また、他のマジックと組み合わせることも可能です。 

“ステージマジック基礎講座⑩”はルーティーンの組み方です。マジシャンの個性や特徴を出すために、どういった流れでマジックを行うか、どういう技法を組み合わせてマジックにするか、ということは重要です。
一応、自分の好きにルーティーンを組めばいいのですが、お客さんが飽きないようにする必要があるので、起承転結、序破急等の流れを考えて構成した方が良いです。

2016年8月25日木曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第9巻) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

どうしてもDVDの記事はDVD全て観てから書くため、結構億劫になってしまい、中々筆も進みませんが申し訳ありません(って誰に謝っているんですかね!?)

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第9巻)は
本格ロープマジック編 となります。


第5巻ではロープマジックのうち、結び目を作り、消えたり移動したりする現象をメインに解説されていましたが、第8巻では1本のロープが指や首など色々なところを貫通する現象、2本の紐をビーズや服の袖、リングなどに通して結んで外れるような『おばあさんの首飾り』と呼ばれる現象、ロープを切って復活させる現象の3大現象が解説されています。
5巻の内容と色々組み合わせると、独自のロープマジックが構成できます。
ロープマジックは道具の持ち運びが簡単な割に、少人数からお客さんに手伝ってもらうような大掛かりな内容まで色々対応できて便利です。

1本のロープの貫通
以下の現象は全て普通のロープを用いて行うことが出来ますので、周囲を取り囲まれても何の問題もありませんし、即席で行うことが出来ます。
・指を抜けるロープ

パズルチックな動きのマジックで、比較的クロースアップや少人数のサロンに向く内容です。
・腕を抜けるロープ1
お客さんの腕やマイクスタンドを用いて行います。 
輪ごむで行うクレイジーマンズハンズカフというマジックと原理は同じですが、サイズが大きい分、さらにビジュアルです。ちょっとしたアクセントとして行うマジックとしては良いかもしれません。
・腕を抜けるロープ2
輪っかにしたロープを自分の手首に絡めたロープが一瞬で解ける現象です。
・首を抜けるロープ
腕を抜けるロープ2で用いたロープを首に巻いて瞬間に外れるマジックです。輪っかにしないでも行えますが、輪っかにしたときと雰囲気が異なります。
・手を抜けるロープとハンカチ
演者の手にロープを巻き付けます。そのロープの内側からハンカチを巻き付け、お客さんにハンカチを結んでもらいます。一瞬でロープにハンカチが結ばれた状態で手から外れます。さらに息を吹きかけると、ロープからハンカチも外れてしまいます。

おばあさんの首飾り
こちらの内容はロープにちょっとした細工が必要ですので、即席にはできませんが、大舞台でも行えるような内容までカバーした表現ができます。
・二人の脱出

2本の長いロープで2人のお客さんを縛り、左右からロープの端を引っ張ると、一瞬でロープから抜けられます。
・ロープからの脱出
1人のお客さんに直径10㎝くらいの輪っかを持ってもらいます。長いロープでお客さんの体を縛り、輪っかにロープを通して結びます。左右からロープの端を引っ張ると一瞬で輪っか、お客さんがロープから脱出できます。
・上着の脱出
ジャケットの袖に2本のロープを通します。ロープの端を結んでしまいますが、左右の端を引っ張ると、ロープが上着の袖から貫通します。
・コーズ・オブ・ファンタジア
2本のロープでウォンド(マジックで使う杖状の棒)を結びます。左右にハンカチを2枚ずつ合計4枚ロープに結びつけます。さらにロープの端を1本ずつ持って真ん中で結びます。ウォンドを外して左右を引っ張ると、ハンカチが結ばれたままロープから外れてしまいます。
ウォンドを使うことによりロープの細工が不要となります。 
・リングの貫通
 コーズ・オブ・ファンタジアと同様に2本のロープとウォンドを使います。ハンカチの代わりに2色のリングを合計4本通します。お客さんの選んだ色のリングだけ分離してしまいます。
・ペーパーバッグ・ファンタジー
 これも同様に2本のロープに2枚のハンカチと2枚の輪っかを通し、4方向に小さな穴の空いた紙袋からロープ、ウォンドを穴から出します。ロープを結んでからウォンドを外し左右を引っ張ると、ハンカチと輪っかはロープから外れて袋の中に残ったままロープは袋の穴から貫通します。
・おばあさんのハンカチーフ
ロープにハンカチを結びつけたものをお客さんに握ってもらいます。その状態でロープをお客さんの手に結び付け、左右を引っ張ると、ロープが手から外れます。
・シルクの脱出
 コーズ・オブ・ファンタジアを一人で演じるヴァージョンです。2本のロープに3枚のハンカチを結びます。ロープを真ん中で結んでから左右を引っ張るとハンカチが3枚とも外れます。
音楽を付けた手順で行えます。
・身体を貫通するロープ
2本のロープをマジシャンの周りに巻き付け結びます。ロープの左右を引っ張ると、おなかを貫通して外れます。1人で行えます。


ロープ切り
・基本のロープ切り1

ロープの端と真ん中をすり替える基本的な方法です。
・基本のロープ切り2
基本のロープ切り1のセットアップをそのまま使うロープ切りで、完全に1本のロープに復活させます。
・基本のロープ切り3
ボブ・エリスの手順です。 真ん中を切ったように見せながら、最後は短いロープが外れて、1本のロープに復活します。
・8の字切り
輪にしたロープを二重の輪にした後、2か所をハサミで切りますが、一本のロープに復活します。レジナルド・スコットによる世界最古の奇術解説書『妖術の開示』にも解説されているとのことで、クラシックなマジックです。
・輪にしたロープ切り
ロープの輪を連ねて結んでいき、4つの輪が連なったような形とし(4つ以上作ってもOKです)、それぞれの輪っかの真ん中を完全にハサミで切断します。完全に切り離されたように見えたロープが一瞬で結び目が飛び散り、一本のロープに復活します。完全に切断しているのが分かるので、非常に不思議です。ただし、復活したロープが極端に短くなってしまうのが難点なので、ロープ切りの最後に演じるのに向いています。8の字切りに続けて演じることが出来ます。
・【ボーナス・トリック】完全なロープ切り 
 一本のロープを真ん中からお客さんにハサミで切ってもらいます。完全にバラバラになったことを示しますが、一瞬で元の一本のロープに復活します。ギミックを用いますが、非常にビジュアルな現象です。


“ステージマジック基礎講座⑨”は視線の使い方となります。 
視線を固定したり動かしたりすることで、マジシャンの自信や不安を表現出来たり、また前回までの基礎講座でもあったミスディレクションを効果的に行うことが出来たりします。

ロープマジックは何となく地味なイメージでしたが、映像で現象を見ると、結構はっきりと切ったロープが復活したり、貫通したりするのが表現できて、やってみたくなりました。
即席で行えるマジックがほとんどですので、クロースアップマジックメインの人でもレパートリーに入れやすいと思います。

2016年7月8日金曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第8巻) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

需要がまるでなさそうですが、引き続き、シリーズDVDの紹介コーナーです。
『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第8巻)は
本格シルクマジック編 となります。


第2巻ではシルクに結び目を作ったりする現象を主に使ったマジックを紹介していましたが、本巻ではそれ以外の現象も含めた華やかなマジックを紹介していきます。

基本手順編
・シルク切り
2枚のシルクのハンカチを新聞紙で真ん中を包んだ状態にします。新聞紙をハサミで切ってしまいますが、2枚のシルクのハンカチは無事です。
・コップから抜けるシルク
コップの中に入れたハンカチがコップに別のハンカチで蓋をしたにも関わらず抜け出てきます。
・ロープから抜けるシルク 
ロープにシルクを巻き付けますが、引っ張るとシルクがそのまま通り抜けます。

ハンクボール編
ギミックを使った手順となります。
・雑誌からシルク
適当に選んだ雑誌のページを破り丸めると、中からシルクのハンカチが4枚出てきます。
・新聞紙からシルク
折りたたんだ新聞紙を丸めると、中からシルクのハンカチが4枚出てきます。
・シルクを生むシルク
シルクの中からシルクが次々と出てきて、最後にはすべてのシルクが結ばれて一直線になります。

本格手順編
・色変わりシルク
紙筒の中にシルクを入れます。下から吹いてやると、別の色のシルクに変化します。
・20世紀シルク
色違いのシルク2枚をバラバラの状態で紙筒に入れ、ガラスのコップに立てかけておきます。次に赤いシルクを取り出し、手の中に丸めて渡します。赤いシルクは消えて、立てかけておいたコップの2枚のシルクに飛び移って真ん中に結ばれています。ダイ・バーノンの方法で、最後の3枚のシルクは普通のシルクなので、別の手順にそのシルクを使うことができます。
・プロダクションルーティーン
ドリームシルクと言われる次から次へとシルクのハンカチが出てきてから、もみ出しシルクという小さいシルクが大量に出てくる現象が起こり、その小さいシルク数枚を丸めていくと最後にブレンドされた大きなシルクが出るエンディングとなります。
非常に見た目が派手で、トリの演技に使える内容です。ただし、相当数シルクを用意する必要があります。
mMLの通販サイトではこのルーティンに必要なシルクのセットが2016年7月現在、10,700円(税別)で販売されています。
準備と後片付けは面倒ですが、効果は抜群でしょう。

引きネタ編
・引きネタ4種
その名の通り、引っ張って隠す道具です。シルクマジックの場合、オープニング現象に用いることが可能です。
何故オープニングかというと、体にセットするため、最初に行わないといけないからです。
引きネタが4種類紹介されています。もちろんクロースアップマジックでも使えますが、ちょっと体の身動きがとりにくく、仰々しくなります。
・シルクの瞬間消失1
2枚のシルクの内、お客さんに選んでもらった方のシルクだけがコップの中から一瞬で消えてしまいます。
・シルクの瞬間消失2
コップに入れたシルクが全て一瞬で消えてしまいます。 
・シルクの瞬間移動
コップに入れたシルクがアシスタントの結んだロープの間へ一瞬で移動してしまいます。
2つのマジックを組み合わせているため、アシスタントとのタイミングを取る練習が必要となります。きれいに決まると非常にビジュアルな現象です。

“ステージマジック基礎講座⑧”はミスディレクション・パート2となります。 フィジカル・ミスディレクションとサイコロジカル・ミスディレクションに関する説明が行われます。

どうしてもマジックという分野の特性上、種明かしになってしまいそうなところは表現をストレートにできないため、ぼやかした内容となっていますが、ご了承ください。

見た目派手な現象でマジックを彩りたい方には本巻の内容が良いと思います。ただし、シルクマジックは準備・片付けに時間がかかるのが難点です。長所短所を認識したうえで、自分のやりたいマジックを選んでみましょう。

2016年7月6日水曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第7巻) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第7巻)は
スライハンド入門 フェイクパス編 となります。


フェイクパスとは手から手へ渡したように見せる技法で、クロースアップ、ステージどちらでも用いられる技法です。基本原理は同じですが、 実際に自然な動きに見せるには練習が必要です。

項目を紹介しますと、

技法編
・基本のフェイクパス
その名の通り多くのフェイクパスの基本となる技法で、フィンガーパームを使う方法です。
・フレンチドロップ
コインマジックでよく聞く技法です。ここではボールを用いた方法も説明されます。
・Vバニッシュ
ボール用のフェイクパスで、クロースアップでやるとちょっと違和感ありますが、ステージではこれくらい派手な動きの方が見栄えが良いです。
・シャトルパス
両手を改めたいときに用いるフェイクパスです。
・エクスチェンジ
際限なく物が出現したように見せるためのフェイクパスの一種です。

練習奇術編として
・3つのボールの手順
紙玉やティッシュ丸めたもの、コイン等の手に納まるものでできる手順です。最後に3つのボールは消えてなくなります。
紙を丸めて即興で行うような内容にしても良いでしょう。動画ではCups & Ballsと呼ばれるクラシックマジックで使われるような赤い小さなボールが使われています。
・手から手へ移るボール
フェイクパスのみを使う手順で、『3つのボールの手順』のボールのうち2つを使って行えます。片方に2個持ったはずのボールが両手に1つずつに移動したり、両手に握ったボールが片方に集まったりします。
練習用奇術ですので、いまいち現象の面白さやオチはありませんが、色々応用すれば、最後にボールをお札やコインに変化させるようなクライマックスにできます(説明は動画にありませんが)。

応用奇術編として
・飛行コイン・バージョン2
グラスと目に見えない空気コイン!?を用います。いつの間にか本物のコインが出現し、グラスを貫通したりします。最後はコインがジャンボコインに変化します。どちらかというと人数多めのクロースアップ向けの手順です。
・破った紙の復活
 破ったティッシュペーパーのような紙がライターで炙るとつながって元の1枚の紙に戻ります。ほぼ即席で実演できます。

舞台用ルーティンとして
・四つ玉の手順(ノーギミック版)
普通、四つ玉というとギミックを用いるのが多いのですが、今回はフェイクパス練習用として、ただの玉を4つ用いた四つ玉の手順が紹介されています。演技動画を観ても、ギミックを用いているようにしか見えませんが、全てレギュラーボールです。最後にボールがシルクのハンカチになります。
十分一般向けに通用する手順ですが、角度がきつそうな気はします。非常に練習と角度の研究が必要となります。
ローリング
手でボールを1個または2個を転がして移動させるフラリッシュです。両手で行うと、四つ玉演技のために必要な筋肉が鍛えられます。慣れないと2個転がすのは大変です。

“ステージマジック基礎講座⑥”ではミスディレクションの解説が行われます。マジックでも非常に重要な原理であり、観客の心の性質について説明され、いかに秘密の動作を気づかせず自然に見せるかについての考察がなされています。

本巻の内容はスライハンドマジックの基本となるもので、色々な素材を扱うときにも重要となる原理が含まれています。 

2016年7月1日金曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第6巻) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第6巻)は
スライハンド入門 ギミック編 となります。


本館で取り扱うギミックというのは観客に知られることはない道具ですが、ステージマジックなどではマジシャンがテクニックで行う現象をより鮮やかにしてくれるのをサポートしてくれる隠し味のようなものです。
基本的に観客から見えることのない、あるいは見えていても見えていない、という禅問答のような道具なのですが、ちょっと紹介憚れるようなものも存在します。文字だけなら大丈夫か、ということで簡単に紹介します。

サムチップ編
今時100均でも売られてしまっているギミックで、子供たちでも意外に実物を見たことのある人は多かったりしますが、意外に正しい使い方を知っている人は少ないです。なので、適切に演技すると相当驚かれます。
・基本手順
オーソドックスに借りたハンカチから小さなハンカチが出現したり消失したりするマジックです。マジック教室でもよくレクチャーされるようなものですが、全ての基本となります。
・コインの変化
・塩の移動
このような粉体、顆粒状の物も取り扱えます。
・パンシルク
大人数の前でも立派に通用する実用性の高い手順です。
・大予言
・リボンの復活
この辺りは使っているギミックが同じでも、現象的には相当違う感じがします。いくつかをローテーションして使うと、レパートリーにバリエーションは増えるし、道具の扱いにも慣れていいと思います。

第六の指
ちょっとそのまま名前の通りのギミックなのですが、実際購入してみると使うのを躊躇するかもしれません。しかしステージやサロンで使ってみても、案外、誰も気づきません。ギミックサイズの特性で、比較的大き目の45㎝シルク等を用いることができます。
・シルクの出現と消失
・浮揚する花

ダイチューブ編
小さめのシルクのハンカチの色が次々と変わっていくマジックに使われるギミックです。テンヨー製の色変わりハンカチなどにも入っていますが、ギミックの構造上、ちょっと使いにくいので、もう少し容積の大きい物を個人的には用いています(わざと表現曖昧にしています)。
・基本手順
色変わりハンカチの基本的な手順です。
・サカー的演出①
・サカー的演出②
色変わりハンカチではサカー的演出が用いられるのですが、下手するとただの嫌味マジシャンになってしまうので、ご自分のキャラクターに合わせた方法で演出しないといけないため、結構実演すると難しい面が多いです。角度的な面も気を付ける必要あり、練習はそれなりにしておかないと上手くできませんが、観客受けはいいです。
実演してみると分かりますが、クロースアップマジックでも存在を知られることなくこのギミックは使えます。ポケットに準備しておけば、結構すぐに演じられるので、アンコール用のマジックや失敗したときに代わりに行うリカバリー用マジックとして便利です。

“ステージマジック基礎講座⑤”では決めポーズの取り方、ということで、日常生活では絶対行うことのない内容が説明されています。結構恥ずかしいのですが、こういった決めポーズを行うことでマジックらしくなり、お客さんが拍手もしやすくなります。 

本編で学んだ使い方を色々応用してみると楽しいでしょう。 
 

2016年6月29日水曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第5巻) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第5巻)は
ロープ入門 結び目編 となります。


ロープという細長い特徴を生かした現象として、結び目を作ったり、解いたりするものが挙げられます。
現象的には地味な感じですが、持ち運び便利で、角度にも強く、サロンマジックでもクロースアップでも比較的人数の多い人相手に演じることができ、マジシャンにとっては色々好都合なマジックです。
本編では当然のことながら、ある程度練習が必要となる各種結び方がこれでもか、と説明されていきます。

・使用するロープについて
ロープマジックでは結び目編の他、第9巻の本格ロープマジック編で行われるロープ切りなどがありますが、使うロープは共通で、細い糸を編み込んだスピンドルロープが用いられます。材質は木綿やアクリルが使われています。特にカラーの物はアクリル製となります。両端は放置しておくとモロモロとしてきますので処理しないと見苦しいことになります。アクリル製では木工用ボンドで固まりませんので、その処理法についても説明されています。
手芸用品店で売られていますが、3Lサイズの太い物は相当探さないとありません。 DVDでは言及されてないし、あまりどこにも書かれていませんが、『紅鶴』というブランドに3Lの極太ロープがあったりします。

様々な結び方
基本的な結び方から片手でシルクと同様に結び目を作ったり、フラリッシュ的に結び目を作る方法が色々解説されています。
・瞬間結び①
・瞬間結び②
・ウィリアムテル・ノット
・ダブル・ノット①
・ダブル・ノット②
・ダブル・ノット③
・ヒンズー・ノット
ロープマジックのクライマックスとして使える、一度に多数の結び目を出せる方法です。

解ける結び目
結んだ紐をいかに解くかということで、基本から応用まで説明されています。
・ノット・ノット
・消える蝶結び①
・消える蝶結び②
・二重の結び目
・フォールス・ノット

結び玉と輪の作り方
ロープ用のギミックの作り方の解説です(わざとアバウトな説明としてあります)

結び目に関するマジック
今まで学んだ結んだり解いたりを組み合わせると結び目が移動したように見える現象等が構成できます。それらをマジックの現象として作品化したものを紹介しています。
・取れる結び目4種
・フリップ・ノット
・3つの結び目
ロープマジックのオープニングに用いることのできる手順で、結び玉のギミックを用います。
・飛び移る結び目
・移動する結び目①
・移動する結び目②
・結び目がいっぱい
1本のロープを使うマジックの手順のトリネタとして用いることのできるマジックで、たくさんの結び目を出現させることができます。

そしておまけの“ステージマジック基礎講座⑤”では舞台での歩き方についての解説があります。モデルとかをしていない限り、普段歩き方を気にすることはないと思いますが、舞台から出てくるときの足の出し方や、綺麗に見える歩き方が解説されております。
こういった細かい部分の積み重ねがステージマジックを上達させる秘訣につながっていきます。

私個人としてはロープマジックとしてはギミックのあるものや3本ロープくらいしか演じないので、こういった結んだり解いたりするだけの演技力や技術力の要るものを演じたことはほぼありません。しかし、準備も簡単でどんな悪条件でも演じられるというのはパフォーマーとして活躍しているアマチュアマジシャンとしては非常に魅力的です。そのうちレパートリーに取り入れられたらいいな、と思っています。
  

2016年6月11日土曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第4巻) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

 『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第4巻)は
スライハンド入門 パーム編 ということになっています。

マジックされる方ならパームと言えばあれか、と分かるでしょうが、どちらかというと、クロースアップマジックでの技法をイメージされる方の方が多いでしょう。
この間ではマニピュレーションに用いられるパーム技法及びそれに関連したマジックが紹介されています。

パーム技法自体を自然に見せるためにはミスディレクションと呼ばれるテクニックの利用が必要となり、それに関する解説が行われます。

基本技法としてフィンガーパーム、クラシックパームを中心に説明されています。
 
取り上げられているマジックは 

増えるお札
千円札を肘でこすると2枚に増えます

ハンキー・パンキー
ハンカチの中から次々とコインが現れます。最後はお札がいっぱい出てきます。 

ロープの結び目に現れるシルク
ロープを輪っか状にします。ロープの端を左右に引っ張ると、ロープの真ん中からシルクが突然出現します。

ボールになる結び目
シルクのハンカチに結び目を作ります。それをつまんで下におろすと、ボールに変化しています。

ボールとカップ
カップにボールを入れます。次々とボールが出てきてカップに入れて行きます。カップをひっくり返すとシルクが出てきます。

練習用手順 ボールとシルクの手順
これまでに学んだ、ロープの結び目に現れるシルク、ボールになる結び目、ボールとカップをつないだ手順です。

コインになる炎
ライターの炎をつまむとコインに変化します

貫通するコイン
コインが手の甲や服を貫通して出現します

紙幣になるコイン
コインを手で振っているうちに紙幣に変化します。

練習用手順 飛行するコイン
今までに習った手順を織り交ぜた、コインが色々な所に飛行したり、ライターに変化したりする現象です。
どちらかというと、クロースアップで見るような手順です。



そ して“ステージマジック基礎講座④”として、綺麗な立ち方の解説です。今まであまり解説されることのなかった、マジシャンらしく綺麗に見える立ち方を行うための準備運動、立ち位置などが細部に亘り解説されています。今回の内容をマスターすれば、今まで素人っぽかった姿勢もマジシャンらしい立ち方に矯正できます。

基本的には各巻独立した内容ではありますが、今回のパーム編は第7巻のフェイクパス編へと発展し、フェイクパス編は11巻の四つ玉編へとさらに本格的な内容に展開されますので、本格的な四つ玉をマニピュレーションで行いたい方は、揃えた方が良いと思います。

2016年6月9日木曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第3巻) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

 『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第3巻)は
カードマニピュレーション入門 ファンカード編編 です。

マニピュレーションとは手先の技術で行うマジックであり、スライハンドマジックなどと呼ばれます。その中でもどちらかというとフラリッシュとか曲芸に近い領域の見せ方を行う、不思議さというより、美しさを見せるのがファンカードと言えます。


まずカードの加工方法が説明されています。加工をすることによりきれいにカードを広げることが出来るようになります。

基本技法として、片手、両手でカードを綺麗に広げる方法や、カードシャッフル方法が説明されています。
 
応用編として、
 
逆S字ファン

白くなるファン

サークル・ファン

色変わりファン①

色変わりファン②


ファンの出現

並列ファン

フラリッシュ(スプリング、カスケード、アーム・スプレッド)

ファンカード練習用手順

ファンカード参考用手順

 


そ して“ステージマジック基礎講座③”として、マジックの学び方が解説されています。マジックを色々見て気づいたこと、感想、考えたことなどをノート等に残すことの重要性が説かれています。
またマジック道具の購入、書籍での学び方について、カズカタヤマ氏なりのアドバイスがなされています。


3巻目はカードマジックの中でもファンカードに焦点を当てた内容となっておりますが、本格的に手先からカードを大量に取り出すミリオンカードについては、12巻にて解説されることになっています。

2016年6月7日火曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第2巻) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

 『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第2巻)は
シルク入門 結び解け編 ということになっています。

最初にシルクの保管方法や扱い方が説明されています。
シルクというのはいわゆるマジック用の絹製ハンカチのことを言います。通常はマジックショップで購入します。結び解け編とのことで、シルクを結んだり解いたりといった使い方をするため、ある程度の大きさが必要になり、45㎝角か60㎝角のシルクを使用することが推奨されています。

基本技法として、結び方やウソ結び、片手で結ぶ方法等が紹介されています。
 
取り上げられているマジックは 

空気鉄砲
シルクで作った結び目を指で鉄砲のように撃つと、結び目が消えてなくなります。 

シルク貫通3題
①外れるシルク
お客さんと2枚のシルクのハンカチを結んで引っ張ると、結び目が保持されたまま外れます。
②腕を抜けるシルク
お客さんの腕にシルクを結びます。シルクを引っ張ると、結び目が保持されたまま腕から外れます。
③3枚のシルク外し
3枚のシルクハンカチをマジシャンと2人のお客さんで結び合いします。3人がシルクを引っ張ると結び目が保持されたまま外れます。
①~③の原理的には同じですが、見た感じが異なり、お客様と楽しめるマジックとなっています。

分裂シルク
1枚のシルクに結び目を作ります。両端を引っ張ると、シルクが2枚に分裂します。さらにそのうちの1枚を使い、さっきと同様に結び目を作ります。すると、またシルクが分裂して、合計3枚になります。普通のシルクのハンカチ3枚あればできます。

結び目の移動①
2枚のシルクのうち1枚に結び目を作ります。同時に2枚のシルクを振ると結び目が他方のシルクに飛び移ります
結び目の移動②
1枚のシルクを結び、もう1枚はそのままのものを両手で持ちます。両手を近づけて広げるだけで、結び目が一方から他方に飛び移ります。結び目の移動①とは違った技法で易しくできるようになっています。

シルクの予言
自由に3枚の色違いのシルクを結んでもらいます。予め袋に予言として入れていたシルクの結ばれた順番と一致しています。

入れ替わるシルク
3枚の色違いのシルクのハンカチをお客さんの好きな順番に結んでいきます。端につなげたはずの色のハンカチが結び目の真ん中に移動します。最後には残り2枚が結ばれた状態で真ん中のハンカチが外れてしまいます。面白い技法を使います。

シンパセティック・シルク
日本では6枚ハンカチと呼ばれ、石田天海氏が演じて有名なマジックです。3色のハンカチ2セットを使います。一方のセットのハンカチはバラバラですが、他方のハンカチを結ぶと、バラバラのはずのハンカチが同様に共鳴して結ばれます。また一方のハンカチをバラバラに外すと、他方の結ばれていたはずのハンカチもバラバラになっています。


そして“ステージマジック基礎講座②”として、マジックの効果的な練習方法について解説されています。姿見(鏡)、ビデオを用いた練習が推奨され、身近な人に試演することにより批評をもらうということが説かれています。冷静な目で自分の演技を見つめなおし、理想の姿とのギャップを埋めていくことが大切です。


2巻目はシルクマジックでも結び目を利用した現象が主なものを扱っています。この後8巻目では本格シルクマジックとして、それ以外の現象のマジックも紹介されます。


何となく種に関連する表現をぼやかしているため、奥歯に物のはさまった表現ですが、実際に動画を見ると、現象の分かりやすいマジックが多いです。
こんな感じで本シリーズの紹介を続けていきます。

2016年4月12日火曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第1巻) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

ようやく『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第1巻)の内容に入っていきます。

第1巻ということで“初めてのステージ・サロンマジック”という副題が付けられており、初めての人でも学びやすい、と考えられる内容からスタートしています。なので、マジック専用道具としてはシルクのハンカチ位で、他はロープ、ペーパーコーンなどで、ペーパーコーンは新聞紙を使っています。

取り上げられているマジックは 

新聞20世紀シルク
筒の中に入れた赤いハンカチが、筒の外にぶら下げた2つのハンカチの間にいつの間にか結ばれて出てくる現象です。
20世紀シルクの現象ですが、グラスとかを使わず、新聞紙を丸めた物で行うため、2つのシルクの間が離れており、バラバラの状態から赤いシルクが飛び込むところが珍しいです。

飛行するシルク
ペーパーコーンに入れたハンカチが消えて防止の中から出てきます。

ペーパーコーンの応用①
ペーパーコーンを使ったハンカチの色変わり現象です。

ペーパーコーンの応用②
ペーパーコーンを使った20世紀シルク現象です。
助手との共演で華やかな現象に仕上がっています。
ペーパーコーンと筒が新聞紙なので、やはり安っぽく見えてしまいます。せっかく美人アシスタントを使っているのだから、もう少し華やかな物にした方が個人的には良いような気がします。
 
伸びるロープ
3本の長さの違うロープが3本とも同じ長さになります。これだけだと、よくあるプロフェッサーズ・ナイトメアと呼ばれる3本ロープのマジックですが、本当に3本ともバラバラにしても同じ長さになっています。 事前準備が必要です。

大きくなるロープの輪
3本の同じ長さのロープを1本ずつ端を結んで輪っか状にしますが、ロープを振ると、3か所の結び目でつながった大きな輪っかになります。1つ前の伸びるロープの手順と続けて行うことができます。

紙テープになるティッシュ
ティッシュペーパーを何枚か取って手に丸めるとカラフルな紙テープに変化します。滝のように落ちていく感じが綺麗です。
ただし、最初のティッシュの箱から取り出す部分があまりにも日常感あふれる感じなので、何かティッシュの出し方は工夫した方が恰好良いかもしれません。

ブレンドペーパー 
文字の書かれたバラバラの紙を破っていくと、メッセージの入った1枚の紙になります。
オープニングの自己紹介などに使えるマジックです。
“図解ステージマジック入門”の“メッセージの出現を動画にしたような内容です。


これに加えて、道具紹介としてステージマジックで使うテーブルについて紹介されています。 

そして“ステージマジック基礎講座①”として、サロン、ステージマジックについての違いの説明や留意点を概論的に説明しています。

1巻目ということで、比較的、特殊道具のを使わない、大きく見せられるマジックが選ばれています。 
本シリーズは各巻独立しているので、特に1巻から全て揃える必要はなく、気に入った所だけ購入しても大丈夫となっています。
しかし、準備や演技上の綺麗に見せるポイント等の解説されているので、お金に余裕があれば、1巻から順に観ていった方が良いかもしれません。
まずは、自分の気になっている内容の巻から買いそろえてみてください。
 

2016年3月28日月曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(総論) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

久しぶりの記事追加となります。なにせ気が向かないと更新されませんので、困ったものです。


前回まではサロン、ステージ系のマジックをする際の資料が少ない、ということで、各種書籍を紹介してきました。
今回からはDVD関係で、大人数に見せるためのマジック用の物があるかを紹介していきたいと思います。

マニピュレーション系の指先の技術を必要とするものについては意外とDVDも存在していますが、初歩の内容から教えてくれるものとなると少ないです。これはおそらく、①ステージ系の内容のDVDを欲しいと思う初心者が少ないこと、②そこまで本格的にマジックするかどうかわからない初心者が高いDVD買うことに躊躇する、③そういった内容がもっと早い時期に欲しかった、と思うような方々はあっという間に上達してしまい、マニアックな内容のDVDでないと満足しなくなること、④プロマジシャンにとって自分が初心者であった頃のことなどすっかり忘れてしまい、何が初心者にとってわからないのかが理解できないため、初心者用ステージ系DVDを作るモチベーションが湧かない、などが考えられます。

日本語のステージ・サロン系で入門者向けDVDと言えば、やはり書籍でも数多くの著書を持つ、カズ・カタヤマ氏による『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』シリーズでしょう。
これが全12巻からなり全て集めると
このような感じになります。
1巻が税込みで4000円近くしますので、12巻セットで購入するにはお財布と相談必要でしょうが、どの巻単独で購入してもほぼ独立した内容ですので、基本的には問題はありません。(一部、何巻の○○を参考にしてください、といった部分も存在しますが)。

内容的には以前にも紹介したカズ・カタヤマ氏の著書

図解マジックテクニック入門



図解ステージマジック入門



図解マジックパフォーマンス入門
(いずれも東京堂出版)

3部作の書籍で取り扱われている内容を追補して、映像にしたような内容も多いですが、新たに追加されたルーチンやアイデアも収録されています。
そして、各巻ごとにライナーノーツとして、作品内容が紙で記載されているのもありがたいところです。

それにも増して今までこんなことを動画で説明してくれることのなかったような、『ステージマジック基礎講座』というものが非常に参考になります。

本当にステージ・サロン系マジックの入門レベルの方はこんなブログを読んでいるくらいなら、カズ・カタヤマ氏のDVDを何回も見て、練習に励み、人前で演技して、修正を重ねることが必要でしょう(と、自分のブログ内容を否定するところも、非常識なマジック入門講座と自称する所以です)。



2016年3月3日木曜日

『ターベルシステム・ガイドブックLESSON 1-10』 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)その16 書籍

テンヨー社から出版されていた『ターベルコース・イン・マジック』7巻(1995年に発行された8巻目が発行)は長年、マジシャンから初心者まで、マジックの歴史や心構え、イリュージョンも含めた幅広い内容を網羅した百科事典的バイブルとして親しまれてきましたが、出版元の版下の関係で、廃刊となりました。
そして、入手できなくなったことで、ネットオークションでも相当高値で取引されるようになってしまいました。

そもそも、何故ターベルコースと言う名前になっていたかというと、元々、ターベル博士がマジシャンのための通信講座を開講しており、その時のテキストを、マジックの順番や重複を整理して書籍の形に出版した物が『ターベルコース・イン・マジック』でした。
オリジナルの通信講座は1926年~1929年の期間に書き上げられたものです。


ベルヌ条約により著作権の保護期間は50年間とされていますが、アメリカは70年間を適用しています。
ターベル博士は1960年に亡くなりました。2010年で死後50年以上経過しており、オリジナルのターベルコース・イン・マジックは著作権フリーとなったと著作権保護期間50年間の国ではみなされ、既にネット上に英語版のオリジナル・ターベルコース・イン・マジックのpdf版が掲載されていたりします。
ただし、アメリカは著作権保護期間を70年間としているので、ややグレーな存在ではありますが。。

今回取り上げた『ターベルシステム・ガイドブックLESSON 1-10』はそのオリジナル・ターベルコース・イン・マジック 全60レッスンの内の1-10レッスンを取り扱ったものです。

内容は上口龍生氏の解説による『マジシャン養成講座 ターベルシステム・ガイドブック』というA4版サイズ、全58ページの日本語解説書、レッスンで扱われているマジックの全演技(解説無し)、ターベルシステム・ガイドブックLESSON 1-10までの日本語翻訳pdfデータからなっています。
日本語版でもレッスン10までで216ページあり、価格を抑えるため、pdf版となったようです。

内容はまさしくマジックの学校ともいえる内容で、最初はマジックの歴史から入ります。そしてマジックは科学である、ということで、その基礎を学ぶことの重要性を述べています。
またこのコースはプロ養成を目指していたので、プロ意識を持つことが強調されています。
その他マジックをする上での練習の大切さやパターの大切さ等心得が述べられていきます。

後の章でも最初にマジックの科学・歴史的内容の概論を説明してから、同じ系統の道具や手法を用いるものをまとめてレッスンを組み立て、実際のマジックが習得できるようにプログラムが組まれています。

レッスン10ではマジックの解説はありません。
ここでは今までのレッスンで学んだマジックを実際に人前で演じる時の心得が述べられています。これは現在のアマチュア・プロマジシャンともに共通して役立つ内容となって置いrます。
演じるマジックの種だけでなく、自身や見た目の大切さやショーマンシップ等の重要さが色々強調されています。
そして、レッスン9までで学んだマジックのルーチンについてもアレンジしてくれています。誠に至れり尽くせりの内容です。

最後では『他のマジシャンの仕事ぶりを見よ、とあり、他のマジシャンから学ぶことがたくさんあるので、色々プロの演技を見ましょう、と述べられています。


演技動画については、レッスンで紹介された全てのマジックを上口龍生氏が愚直なまでに演技をしてくれています。


当然200ページを超える内容であるため、一口では言えませんが、基礎知識や歴史的背景、科学的上達法を取り入れた、素晴らしいシステムと言えます。取り扱っているネタが今風でないということは否めませんが、現在でも通用する内容ですので、じっくり読み進めていくのが良いと思います。
 

 

2016年2月29日月曜日

Mr.YU 大阪鶴見三井アウトレットパーク 大道芸ショー

マジックを演じようという方はマジックのことだけを考えていればいいということではいけません。当然、マジックというエンタテイメントのセグメントをどういう風に考えるかにより、同業他社は変わってきます。
マジックも屋外ステージで行うエンタテイメントの一種としてとらえれば、屋外ステージで行われる大道芸やミュージシャンによるコンサート、パントマイムなどのパフォーマンスもマジックの同業他社と言えます

そういうわけで、2月28日(日)門真南駅から行ける大阪鶴見アウトレットパークの3F屋外ステージにて開催されたMr.YUによる大道芸ショーを鑑賞しました。(本当は別件で現地に行ったついでですが)。 
 
名古屋でご活躍されているジャグリングの大道芸人さんでディアボロを得意とされています。体型はご本人もおっしゃっている通りとてもジャグラーには見えないご立派な体型(体重100㎏オーバー)ですが、動きはめちゃめちゃ良いです。
本職の方がこういったところで稼ぐためのショーなので、構成や客を引き付けるための工夫などを中心に見させていただきました。
ご本人もネット拡散ご希望だったので、ご要望に応え、拡散させていただきます。

まずはバルーンアートでスタートさせます。最初は客の入りが良くないので、カラフルな風船を使い、トークでつなぎながら徐々に客を増やしていきます。この辺の行動は中々巧みです。そうこうしているとお客さんも結構入ってきたので、 バルーンアートを完成させます。ミッキーマウス・ミニーマウスのペアバルーンアートが出来上がりました。大きな拍手が来ます。

 
小さめの台を取り出してダイススタッキングを行います。
マジシャン目線で言わせてもらうと、この大舞台でも結構小さめのダイススタッキングで観客の興味を引き付けることができていたので、参考になります。
  
最初から大量に積まれていたシガーボックスは何に使うのだろうと思っていましたが、一つづつ飛ばしていって両手で大量に挟んでいき、最後は片手で積み上げ、ホログラムカラーのシガーボックスだけを飛ばして箱の中に入れます。

そして大会でも優勝したというディアボロの演技。観客の喜ぶ空中へ高く上げる技も交えて何度高い物を色々やってくれます。見事なものです。ただ、こちらも素人なので、すごいことは分かるのですが、どれが難易度高いのかまでは正確に分かっていません。

芸に入る前にカメラ構えていたら、『そこのお兄さん、シャッターチャンスですよ』とギャグでポーズを決めてくれます。せっかくですので決めポーズも撮影させていただきました。

途中でジャグリングではなく、ルービックキューブが入ります。
観客に端だと小さいので見にくいですよ、と中央の方まで集めていきます。この辺りのオーディエンスマネージメントは見事な物です。


目隠ししてやろうかとして、結局目隠しはせず、背中に回して揃えます。最初に図柄を頭に焼き付けてから、ずっと背中で動かしていき、六面揃えます。見事に完成、大拍手となります。

大道芸で中央にある台から何となくバランス芸をしそうな感じはしていましたが、トリは予想通りのバランス芸です。しかし、さらに大量のシガーボックスで踏み台を追加して行います。こわごわといった感じで乗っていき、成功です。

これだけでもすごいのですが、さらに3本ナイフを取り出し、台の上でジャグリングを行います。


ここでフィナーレと思っていると、反応が良いのでやるかどうか迷っていたというけん玉を取り出します。めちゃめちゃ紐が長いです。


見事大成功です。

当然大道芸で生活されている方なのでチップのお話し入りますが、これも、『神社のお賽銭ではないので、5円とか10円、100円玉でなく、細長い四角いやつ』『細長く四角いやつ、と言ったら、小さな女の子がレシート持ってきてくれました』とかギャグトークを交えながら、チップ、それも1000円以上のものを促し、この辺りも長年大道芸やってきた手際が感じられました。
長い竿付きのチップ回収袋などもユーモラスで、次から次へと皆さんチップを入れて行ってました。(もちろん私も入れましたよ)。

最後にミッキーマウス・ミニーマウスの風船争奪戦で、Mr.YUとじゃんけんして勝った人にプレゼントされました。

結構子供たちもいっぱい来て、終盤は相当観客も多くなり、集客や盛り上げ方が参考になりました。マジックの場合、大道芸と全く同じような集客方法をそのまま取れない点もあるのですが、こういった経験を何らかの形で生かしていきたいと思います。

30分以上のショーでしたが、時間を感じさせない楽しいエンタテイメントでした。