2016年3月3日木曜日

『ターベルシステム・ガイドブックLESSON 1-10』 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)その16 書籍

テンヨー社から出版されていた『ターベルコース・イン・マジック』7巻(1995年に発行された8巻目が発行)は長年、マジシャンから初心者まで、マジックの歴史や心構え、イリュージョンも含めた幅広い内容を網羅した百科事典的バイブルとして親しまれてきましたが、出版元の版下の関係で、廃刊となりました。
そして、入手できなくなったことで、ネットオークションでも相当高値で取引されるようになってしまいました。

そもそも、何故ターベルコースと言う名前になっていたかというと、元々、ターベル博士がマジシャンのための通信講座を開講しており、その時のテキストを、マジックの順番や重複を整理して書籍の形に出版した物が『ターベルコース・イン・マジック』でした。
オリジナルの通信講座は1926年~1929年の期間に書き上げられたものです。


ベルヌ条約により著作権の保護期間は50年間とされていますが、アメリカは70年間を適用しています。
ターベル博士は1960年に亡くなりました。2010年で死後50年以上経過しており、オリジナルのターベルコース・イン・マジックは著作権フリーとなったと著作権保護期間50年間の国ではみなされ、既にネット上に英語版のオリジナル・ターベルコース・イン・マジックのpdf版が掲載されていたりします。
ただし、アメリカは著作権保護期間を70年間としているので、ややグレーな存在ではありますが。。

今回取り上げた『ターベルシステム・ガイドブックLESSON 1-10』はそのオリジナル・ターベルコース・イン・マジック 全60レッスンの内の1-10レッスンを取り扱ったものです。

内容は上口龍生氏の解説による『マジシャン養成講座 ターベルシステム・ガイドブック』というA4版サイズ、全58ページの日本語解説書、レッスンで扱われているマジックの全演技(解説無し)、ターベルシステム・ガイドブックLESSON 1-10までの日本語翻訳pdfデータからなっています。
日本語版でもレッスン10までで216ページあり、価格を抑えるため、pdf版となったようです。

内容はまさしくマジックの学校ともいえる内容で、最初はマジックの歴史から入ります。そしてマジックは科学である、ということで、その基礎を学ぶことの重要性を述べています。
またこのコースはプロ養成を目指していたので、プロ意識を持つことが強調されています。
その他マジックをする上での練習の大切さやパターの大切さ等心得が述べられていきます。

後の章でも最初にマジックの科学・歴史的内容の概論を説明してから、同じ系統の道具や手法を用いるものをまとめてレッスンを組み立て、実際のマジックが習得できるようにプログラムが組まれています。

レッスン10ではマジックの解説はありません。
ここでは今までのレッスンで学んだマジックを実際に人前で演じる時の心得が述べられています。これは現在のアマチュア・プロマジシャンともに共通して役立つ内容となって置いrます。
演じるマジックの種だけでなく、自身や見た目の大切さやショーマンシップ等の重要さが色々強調されています。
そして、レッスン9までで学んだマジックのルーチンについてもアレンジしてくれています。誠に至れり尽くせりの内容です。

最後では『他のマジシャンの仕事ぶりを見よ、とあり、他のマジシャンから学ぶことがたくさんあるので、色々プロの演技を見ましょう、と述べられています。


演技動画については、レッスンで紹介された全てのマジックを上口龍生氏が愚直なまでに演技をしてくれています。


当然200ページを超える内容であるため、一口では言えませんが、基礎知識や歴史的背景、科学的上達法を取り入れた、素晴らしいシステムと言えます。取り扱っているネタが今風でないということは否めませんが、現在でも通用する内容ですので、じっくり読み進めていくのが良いと思います。
 

 

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