今回は
シルクマジック大事典4、ハロルド・R・ライス著、二川滋夫訳、東京堂出版、1996
の紹介となります。
第4巻で紹介されているマジックは全289ページもあるにもかかわらず、20世紀シルク、シンパセティック・シルク、ブレンドウ・シルクの3種類だけです。当然のことながら、その3種類のありとあらゆる方法が紹介されています。
20世紀シルクとは結んだ2つのシルクの間に3つ目のシルクが現れる現象を言います。
この現象を行う方法として1900年頃、フランク・デュクロの名前が挙げられているとのことです。
ありとあらゆる20世紀シルクが紹介され、さらには、1900年代前半の出版にも関わらず、22世紀シルクというものまで紹介されています。この原理は今でも有名な透明筒を使うシルクマジック(クリスタルチューブ)で使われている物です。
シンパセティック・シルクというのは、左右両側に置いたシルクの内、片方を結ぶともう片方も結ばれ、片方を解くともう片方も解かれる、といった内容のマジックです。
1910年にハットンとブレイトにより書かれた『マジシャンズ・トリックス:ハウ・ゼイ・アー・ダン』の中で『ミステリアス・ノッツ』という名前で紹介されたのが最初ですが、考案者は明記されていないようです。
オーソドックスな6枚のシルクを椅子に置くハーラン・ターベル(あのターベルコースで有名な方です)の方法から始まり、4枚しか使わない方法や幻想的な、助手を使うシンパセティック・ローズ、カードを使った手順等多数紹介されています。
ブレンドウ・シルクは通常ブレンド(Blendo)シルクと言われることが日本では多いですが、訳者の発音へのこだわりか、ブレンドウと表現されています。オリジナルはフランク・デュクロの『パーフェクション・フラッグ・トリック』とのことです。
現象としてはバラバラのシルクが溶け合わさって一つのシルクになるマジックです。目の前で本当に溶け合わさる感じに大きく現れるので、トリのマジックに使われることも多いです。
基本原理は似たようなものが多いですが、細かいギミックや取扱い方に各人の工夫が見られます。実演してみると分かりますが、ギミックの具合によって、途中のマジックとして演技するのが難しかったり、上手くギミックが作動しなかったりすることもあるので、自分に合った方法でギミックを調整した方が良いと思います。
本巻で紹介された3種のマジックについては自分の気に入った方法を探し、自分らしい演技で演じられると良いと思います。
ただし、本書も絶版なのが残念なところです。
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