2015年1月20日火曜日

マジックの趣味としての楽しみ方⑤(他分野との融合)

このシリーズひょっとして、 マジックの趣味としての楽しみ方①で書いていた①~⑰まで続ける気か、うんざりするな、と思われる方もいるかもですが(全然有名サイトでないので杞憂だと思いますけどね)、その予想通り淡々と続けていきます。

④演劇的な表現や他分野の専門性をマジックを使いたい
そんな人いるのかというと、意外と元演劇部出身で新天地を開きたいということで、手品を新たに始めるという人が存在します。女性でステージマジックをされる方に多いです。また演劇以外にもダンスやコメディアン、歌手、ボディービルダーや司会者など、色々な方がおられます。

日本・その他で有名な方で、他分野から進出した有名な方を例に挙げていきます。


(1)最も日本で有名な方で、他分野から進出して来た方としては、プリンセステンコー(二代目引田天功)がいます。当初はアイドル歌手 として、1978年“朝風まり”としてデビューし、初代引田天功が急死した後、二代目引田天功としてマジックに本格的に参入することになります。
元々、デビューシングルが『ザ・マジック』とのことで、何らかの形で、マジックとの関わりを当初から持たせようという意図があった気がします。
参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%95%E7%94%B0%E5%A4%A9%E5%8A%9F_%282%E4%BB%A3%E7%9B%AE%29 の内容を基に、独自編集
 

(2)FISM2000でジェネラル部門2位に入賞された“ゆみ”さんがおられます。
彼女はトランプや四つ玉などマニピュレーションで用いられる道具を花や花弁に見立てて、はかなさを表現した、不思議さよりも、感情を揺さぶるような演劇的表現で世界的に高い評価を得ております。
カズ:まず、ゆみちゃんがマジックをやるようになったきっかけを教えてください。
ゆみ:大学のマジックサークルに入ったのがきっかけです。高校の時に演劇部に入っていて、集団で舞台を作ることを経験していたので、今度は1人でやれる舞台が経験したいと思い、マジックサークルにはいりました。
参考文献:カズ・カタヤマ(2004)『図解ステージマジック入門』p.123東京堂出版


(3)また、演劇ではありませんが、モダンバレエをやっていて、マジックを始めた、“ひかり”さんがおられます。 こちらも主となる部分はマジックではありますが、その他分野の深い専門性をバックグラウンドに持ち、他の人にないアクトを作り出しております。
ひかりさんは子供の頃親しんだモダン・バレエの特技を生かし、舞台をまさに縦横無尽に舞いながらダイナミックに美しいマジックを披露されます。この手順はイタリアマジックコンベンション・グランプリをはじめとして数々の大会で優勝している素晴らしいアクトであり、『静』と『動』の対比が見事で、見る者の気分を高揚させます。
参考文献:カズ・カタヤマ(2011)『カズ・カタヤマのシルクマジック大全』p.333東京堂出版

 
(4)日本では知られていませんが、アメリカのマジシャン、マーク・ケイランの場合、当初使っていなかった演技の基礎をマジックに生かすようになり、能力を開花させます。
マーク・ケイランはラスベガスのマイケル・ホリー・即興演技教室に通う、たくさんの演技者の中の1人でした。そして、マークはその教室では一番優秀な生徒でした。本当に面白くて、寸劇をやればやったで、いつでも自分が演じる約にピッタリはある感じですし。そこで、そんなマークに、私はこんなことを言ったことがあります。「当意即妙で観客からも好かれるキャラなのに、肝心なマジックを演じる時には、ほとんど喋らないというのはいかがなモノかしら?」と。(中略)積極的にセリフの部分を取り入れるようになったのです。マークはこれで、観客と本当にうまく気持ちを通わせることが出来るようになり、マークのショーが終わる頃には皆、マークのことを昔からの友人に思わせることが出来るようになりました。
参考文献:ジョニー・スピナ著、田代茂翻訳(2011)『演技をしっかり作りこもう!(Get Your Act)』p.13 JCMA Japan Close up Magician's Association


(5)日本のプロマジシャンダーク大和(故人)は当初は漫才師であり女房とともに漫才を始めますが、生活が苦しいため、女房は蒸発、漫才の相方も見つからなかったため、苦肉の策として、一人でしゃべりマジックをすると受けてしまい、そのままマジシャンになってしまいます。
しかし、マジシャンとしての才能より話術の才能が買われ、歌謡ショーの司会者として稼ぎが安定するようになります。
しかし、同時期でマジシャンの伊藤一葉がTVに出て、有名になっているのを見て、たとえ収入が多くても人の脇に廻って人を持ち上げる仕事に見切りをつけ、再度、安定した生活を投げ打ち、マジシャン一本で修行を始めることになりました。

参考文献:藤山新太郎『種も仕掛けもございません 昭和の奇術師たち』(2011)p.204-206角川選書


(6)キャラメルマシーンはマジック担当のSADAとボケ担当のおだじからなる二人組です。SADAはお笑いのNSC東京校1期生に入り、その前は外資系銀行員だったそうです。当初は漫才を行っていましたが、コメディを取り入れたマジックをするようになりました。


参考文献:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%B3


色々紹介してきましたが、結論として、舞台で何かを行うパフォーマンス素養があれば、マジックは比較的取り組みやすいのではないか、ということです。
そういった素養が、マジックの種仕掛けから入っていったマジシャンに比べて、独自性を高めることになり、オリジナル性のあるマジックは評価を得やすいのかもしれません。別に今までのしきたりとか常識を気にせず、尺八とマジック、ギター演奏しながらマジック、体操的アクロバットをしながらマジックでも構いませんし、卓球しながらマジック(どうやってやるのかは置いといて)、将棋をやりながらマジック(ますます意味不明だが)など、常識外れの組み合わせが何らかの新境地を切り開く、かもしれません。

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