②不思議な現象の種が知りたい
こういった方も結構おられます。マジックをやりたいのではなく、マジックの種を知りたいからマジック教室に通っていた人を知っています。
人間、知らないことに対し、知りたいという欲求が出てくるのは自然の摂理です。ああだ、こうだ理論づけを行い、種明かしは楽しみを減らす、とか、エンタテイメントを知らない奴だ、とかマジシャンは言いますが、そりゃ、自分が苦労して手に入れた秘密を簡単に教える人は、余程の裏がない限りいません。
種を教えてくれる人は
(1)教えることによりその情報をお金に変えられる人
(2)自分の知識が普通の人よりあり、すごいぞ、と示せ、自己顕示欲を満たせる方
(3)種を簡単に自分も入手したり、自分で解明して、こんなくだらないもの、と思っている人
(4)自分が種を教えてもらってすごい、と思ったから、他の人にも教えてあげると感動する、と思っている方
です。
(1)はまさに、マジックショップの方がズバリそうです。お金さえ出せば、どんなものでも演技のコツまで含めたDVDなどもつけるという至れりつくせりで教えてくれます。また、マジックの専門書も、お金さえだせば、惜しげもなくノウハウを教えてくれます。これは、お金を出してまで買うような人なら簡単に他の人に種を教えることはないだろう、という人間の心理をついております。まあ、当然のことながら、そういった人間の心理を超えた人もいるため、種が無料で拡散したりもするわけですが。
(2)はどうも手品のタネがわからないと、沽券に係るとお考えの方に多いようです。そういった方は大抵、地位の高い方や、頭が良い、と周りから思われている方や雑学王みたいな人だったりします。まあ、しょせん、手品のタネ知ってるかどうかで頭の良し悪しなんかはわからないのですが。
こういう方への対処法も実は、マジックの世界ではノウハウとして存在したりします。
詳しくは『カードマジック入門事典』(東京堂出版)のケース・スタディに記載されています。
(3)マジックは子供だまし、とか言われたりしますが、実際はむしろ子供の方がだましにくいです。しかし、実際マジックやってみると、えっ、こんなことに不思議がるのか? ということは普通にあります。
こういうタイプは普通にいますので、色々聞けば教えてくれるでしょうから、種を知りたい方はお友達になると良いでしょう。ただ、マジック演じる側としてはあまり関わり合いたくないタイプではありますが。
(4)これはマジックやる人が最初にかかる病気みたいなものです。自分も種を教えてもらって、すごい、他の人にやってみようと思うようなタイプでした。
『超能力のトリック』(講談社)で、作者が読心術トリックをして、種明かしをせがまれ、教えた後の相手の急変してがっかりする感じがなかなか理解できなかった、とのことを述べています。
こうやって挙げてみると、結論として、不思議な現象の種を知りたい人に対しては、直接教えるのではなく、どうやればその種を知るための情報を得られるかを間接的に教えれば、知りたい人はどんどん種を追及していくし、そこまで根気のない人は、わざわざ自分で種を見つけに行かないので、種をあかしていい人を区別して、対応するのが良いのではないかと思います。
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