①比較的使用する道具が安価である。
と導入編で書きましたが、まず、クロースアップマジックで使う道具について述べます。
(1)カード(トランプ)
(2)コイン
(3)輪ゴム
(4)スポンジ
(5)ポケットリング
(6)その他
と適当に挙げてみました。正直言うとクロースアップマジックに用いる道具は色々考えられますが、収拾つかなくなるので、これくらいにしておきます。比較的バリエーションの多いものを挙げてみました。
まず(1)カードはいわゆるトランプです。使うカードは手品の場合、普通、アメリカのU.S.Playing社の紙製のBicycle RiderBackと呼ばれる模様の物が良く用いられます【以降このカードをBicycleと呼びます】。
Bicycleにはポーカーサイズとブリッジサイズというものが存在します。今、手持ちのカードを測定してみると、ポーカーサイズは縦88㎜、横63㎜で、ブリッジサイズは縦89㎜、横57.5㎜とポーカーサイズの方が5㎜程横長で、ブリッジサイズの方が1㎜程縦長となっています(写真1)。これはコントラクトブリッジの場合、13枚手に持ち、クローズドポーカーの場合5枚手に持つ、ということで、ポーカーサイズの方が比較的横に大きくても枚数が少ないため、横長になっているようです。
また、箱の模様がポーカーサイズは変更がありましたが、ブリッジサイズは昔のままです。
また、ジョーカーも、ブリッジサイズは同じ模様のものが2つで、ポーカーサイズは現在、カラー入りジョーカーとモノクロのエキストラジョーカーとなっています。
昔はオハイオの工場で作られていましたが、現在はケンタッキーの工場製となり、若干腰が柔らかくなったとは言われています。
せっかくですので、古いカードの画像もアップしておきます。
写真1.左ブリッジサイズ、右ポーカーサイズ。真ん中の矢印の向きがブリッジとポーカーで異なります。
写真2.バーコード施行以前の箱を発見しました。
写真3.Hey Presto! 『トランプの賞味期限?』記事から算出すると、上の箱のエースに記載されていたYのマークは1972年製を意味するということらしいです。
写真4.今は無きトランプ類税証紙のついた箱(トランプ類税は1989年消費税導入により廃止)
なぜマジシャンがBicycleのポーカーサイズを使うのかというと、U.S.Playing社の回し者だから、というわけではなく、理由があります。
Bicycleを使うのは、何はともあれ、安価ということが挙げられます。日本でも最近ではダース買い(12個で1箱になっているもの)だと200円台で購入できたりします。また、滑りが良いこと。触ってみると分かりますが、Bicycleは非常に滑りが良く、リボンスプレッドと呼ばれるテーブルにカードを帯状に広げたり、手の間に扇状に広げたりするのに非常に適しています。
またポーカーサイズを使うのは、現在、特殊な仕掛けのあるトランプがほとんどポーカーサイズなので、マジックが上手くなった時にそういったカードを使うのに都合が良いからです。
正直言って横幅が見やすいからポーカーサイズが良い、とか言うのは個人的にどうなのか、と思っています。アメリカとか北欧とかの巨漢で手がグローブみたいな人は確かにポーカーサイズでないと子供用トランプみたいになってしまうでしょうが、手の小さい人が仕掛けカードを使いたい以外の理由でポーカーサイズを使わなくても良いでしょう。ヨーロッパではTommy WonderのDVDではピアトニックのブリッジサイズを使ったりしています。また、お金の問題気にしなければ、好きなカードを使えば良いとも思っています。最近では前田知洋のTV出演の影響か、タリホーのサークルバックを使う人も増えています。ですので、マジック界の常識は気にしないでおきましょう。
裏模様の色は汎用品では赤と青がありますが、マジックで使う場合、赤にしておいた方が良いとされています。 理由は手の中で特殊技法をするときに、赤い裏の方が目立たないからです。ただし、これも気持ちの問題ですので、別に青裏を普通に使っている人も多いし、好きにしたら良いです。この辺に書いている理由に納得すれば選べばよいし、納得しなければ自分の感性で選んで全然構いません。
トランプを買うと、反りが大きい時も良くあります。そういう場合には、カードガードと呼ばれる金属製のクリップで挟んでおけばある程度反りが解消します。
写真5.カードガードにカードの箱ごと挟んだところ
購入時に箱の上から反りを確認したり、箱を上下左右に振ると、反りの具合が少ないと比較的良く動きますので、そういったカードを買うようにしましょう。
私はあまりマニアックでないので、カードの基本的な部分はこれくらいにしておきます。
この他、ステージでミリオンカードやファンカードに使うマニピュレーション用のカードがありますが、これについては別の機会に言及したいと思います。
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