2015年9月20日日曜日

リフレクションズ by ヘルダー・ギマレス 

久しぶりに書籍のレビューとなります。
ヘルダー・ギマレス(Hélder Guimarães)はFISM2006で、ポルトガル人初となるカード部門第1位入賞を果たします。

DVDではSmall Miracles、Red Mirrorといったものが既に発行されています。
他に彼はTEDに『マジックでたどる「偶然」を探す旅』と題して出演しております。リンク先で、日本語字幕付きの動画を見ることができます。

リフレクションズ(REFLECTIONS)は彼の作品を作る時の発想する術と、実際のサトルティの工夫、いかに現象が起こるのと、ダーティーワークを行うタイミングをずらすかの戦略について、彼の持ちネタにおいて説明していくという、クロースアップマジックの理論書となっております。

端的に言いますと、入門者が買ってもさっぱりわからないので、後回しにした方が良いと思います。

そうでない方でも結構本書を読みこなすのは大変だと思われます。
まず、現象は相当不思議なことが何の手がかりもなく起こるようなものなのですが、これを書籍の文章だけ読んでイメージすることは相当難しいです。
次に、収録されているマジックは、『カード、サイン、グラス』『スリーカード&ボックス』『スリー・プログレッシブ・チョイス』『エース&グラス』『カード、数字、マッチ』の5つだけなのですが、いずれも結構セッティングが面倒なものとなっております。そのため、実際に手に取ってセッティングしないと中々何のことか理解しにくくなっています。
おそらく、これを読んでも、実際に自分のレパートリーにしようと思う人は少ないと思います。

『カード、サイン、グラス』は2つのグラスに入れた青い10枚のパケットと赤い10枚のパケットのうち、赤いパケット2枚に客にサインさせて、何の痕跡も残さず、青いパケットにサイン付赤カードを2枚とも移動させるという、カードアクロスの手順です。
 ワイングラスを使いながら、客との距離を生かして、巧みにカードを入れ替えるのですが、最終段階では何もしていないのに、サインカードが飛び移ったかのように見えます。

『スリーカード&ボックス』:3人の客にカードを1枚ずつ選んでもらいます。そのうち1枚だけ(この場合ハートのAとします)に表側にサインをしてもらいます。空のカードケースにデック1組をぱらぱらと弾いて風を起こすと、箱が動き、ケースの下から1人目の客の選んだカードが出てきます。もう一度デックを同じように弾いてみると今度はカードケースとそれを覆うセロファンの間に2人目の客の選んだカードが挟まっています。デックをリボン状に広げると3人目の客の選んだハートのAが 入っているのが見えます。デックを閉じて揃えて、もう一度デックを弾いて風を起こします。すると、またセロファンの間に3人目の客のカードが入ったかと思うと、今度は箱にマジシャンが手も触れないのに、箱の中からサインされたカードが折りたたまれて出てきます。

『スリーカード&ボックス』:3人の客に3枚のカードを覚えてもらいます。1人目の客に覚えたカードの名前を言ってもらいます。すると、マジシャンは客のカードは22枚目にある、と言って、人差し指でデックの半分を跳ね上げて上半分を表替えします。22枚目を数えると、1人目の客のカードが出てきます。
次の客に覚えたカードを言ってもらい、『スペードの7』と答えたら『SEVEN OF SPADE』という文字の数“5+2+5=12枚目”から客の選んだスペードの7が出てきます。
デック全体をスプレッドしていくとすべて白いカードになっています。 そして中央に1枚裏向きのカードがあります。3人目の客に選んだカードを言ってもらうと、1枚裏向きのカードが3人目の客のカードとなっています。

 『エース&グラス』:2枚の赤いエースと2枚の黒いエースを取り出します。黒いエース2枚を机の上に裏返しに置きます。赤いエース2枚はグラスにエースの側が客に見えるように置きます。ハンカチを掛けておまじないを唱えると、一瞬でグラスの中のカードが2枚の黒いエースに変わります。机の上の2枚は赤いエースに変わっています。

 『カード、数字、マッチ』:エニーカード・アット・エニーナンバーの現象です。客にデックの表がバラバラなことを示します。シャッフルした後、リボンスプレッドします。客に1枚選んでもらい、カードを覚えてもらいます。覚えたら再びデックにカードを戻し混ぜます。続いて客にマッチ箱を持ってもらい、1~52までのカードで好きな数字を言ってもらいます。『18』と言われると、18枚目から客のカードが出てきます。そして、マッチ箱の中からは客の選んだカードと同じカードが折りたたんで予言されています。

ギマレスはこれらのマジックを3段階の手順を踏んで、一足先にセッティングを済ませてしまい、種の手がかりさえつかませない巧妙さで現象を実現させます。それもあまり高度な技法に頼らず行ってしまうため、非常にクリアーな現象となっています。
ただし、前にも書いたようにセットアップが相当必要なものが多いので、デックスイッチが必要と一見思わせますが、セッティングされていないカードで他のカードマジックを行うなどして、仕掛けの影さえ見せぬなど、どうやって不思議さを構築していくかの詳細を解説しています。
自分がやってみたい現象を実現するためにどうすべきか、ということに対し、何らかの指針にはなると思いますが、大変高度な内容です。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿