2015年3月10日火曜日

マジックの始め方(クロースアップ)⑥コインの道具

カード編が終わり、ようやく(2)コイン編に入ります。
なぜ、カード編があれだけ長かったかというと、実はコインはあまりやらないからです。とはいえ、入門講座なので、コインを外すわけにはいきません。

正直言いますと、コインマジックの方が練習に時間がかかり、しかも、現象が少人数にしか伝わりにくいところがあります。その分、カードに比べ、腕前が一目でわかってしまうという厳しさがあります。
しかし、コインはお金ということで、比較的、常に持ち歩いていても怪しくなく、しかも小さいため、いつでもどこでも練習できますし、人に何か手品を見せてくれ、と言われた際にも対応しやすいです。ですので、私のように、食わず嫌いにならず、コインマジックにも積極的に取り組んでください。

まず、使うコインですが、ある程度大きいほうが扱いやすいです。そのため、良く使われるのは直径30㎜あるハーフダラーというアメリカの50セント硬貨です。これも色々あるのですが、現在良く用いられているのはケネディー柄のコインです。50セント硬貨自体はほぼ通常流通しておらず、アメリカ人でも普段は25セント(クオーター)くらいまでしか硬貨を使うことがありません。おおよそ、カジノくらいでしか見ることがないコインです。文章で書くとキリがないので、ハーフダラーについて箇条書きします。

・1964年製(シルバーハーフとか64年ケネディーハーフとか呼ばれます)。90%以上銀を含む高純度銀貨です。シルバーハーフ同志が当たると、チャリーンといういい音がします。また、銀製ですので、手に触れてマジックの練習していても金属の臭いが移りません。また、サイドのギザギザ(エッジという)が結構尖っていて、パームと呼ばれるコインの技法がやりやすくなっています。
中級以上のコインマジック愛好家に好まれます。というか、たいてい、ちょっとしたテクニックをお持ちのコインマンはハーフダラーに限らず、銀製のコインを使っています。以前は1枚800円とかだったのですが、2015年2月現在、フレンチドロップというマジックショップで1枚2500円します。おそらく、今後更に値上がりすると思われます。コインマジックをする場合、少なくとも4枚、できれば6枚ほど用意してほしいところですが、シルバーハーフで揃えると一万円を超えるため、学生さんなどには高くて手が出ないかもしれません。

・1965~1970年製(これもケネディーハーフです)。銀の価格上昇に伴い、ハーフダラーを鋳潰した方が価値が高いような時代となり、アメリカ政府も銀の含有量を下げざるを得なくなりました。それでも、この年代のものは40%銀を含んでおります。この年代のものだと、2015年2月現在、1000円強で入手できるようです。1964年製より低品位とはいえ、1971年製以降の白銅貨よりは白さがあり、綺麗です。

・1971年製以降(ニッケルハーフとかサンドイッチケネディーとか呼ばれます)。裏表面が白銅でおおわれた真ん中が銅を主成分とする硬貨です。白銅なので、やや鈍いですが銀色をしています。しかし、サイドのギザギザ部分からみると、銅色をしており、白銅・銅・白銅というサンドイッチ構造になっていることから、サンドイッチケネディーと言われます。銀の含有がないため、比較的安価で、日本でも2015年2月現在、300円程度で購入することができます。なんで50セント(為替レート110円として)55円のものを300円出すのか、と言われると、まあ輸入の輸送費とかがかかるとかがあるので、そのコストが乗っているのでしょう。
コインマジックを始めようという方にはこのコインで十分です。

・1948年~1963年製(フランクリンと呼ばれます)。ベンジャミン・フランクリンの肖像となっています。こちらも銀90%以上含んでいます。ちょっと人と違ったコインを使いたいというマニア心をくすぐるコインです。

・1916年~1947年製(ウォーキングリバティーと呼ばれます)。 そのまんま歩く女神の全身像が描かれたコインです。こちらも銀90%以上含んでいます。

・1892~1915年製(バーバーと呼ばれます)。帽子・花冠をかぶった女神の肖像が描かれています。こちらも銀90%以上含んでいます。さすがに100年以上前のコインですので、ソフトコインという、表面がすり減っているため、コイン同士が当たっても音がしにくくなった状態のものが多く、特殊技法の必要なコインマジックなどに重宝されます。
これより古いハーフダラーも存在しているのですが、上級マニアの方でもバーバーまでしか使いませんので、説明を省きます。

アメリカのコインは、25セント(クオーター)、10セント(ダイム)、5セント(ニッケル)、1セント(ペニー)とあります。特殊なマジックではこれらのコインを使うこともありますが、通常はハーフダラーサイズのものがあればコインマジックをするのには十分です。

他に、 直径30㎜のコインで色違いの物が使いたいという場合にイングリッシュペニーという硬貨が使われます。これはそのまんまイギリスの硬貨で、1ポンドの1/100の価値です。これも2015年2月現在200円程で購入できます。

この他、約40㎜ある1ドル硬貨(ワンダラー)というのも存在している。技法によってはこのサイズのものでないとできないものもある。『SICK』という超絶技巧を駆使したコインマジックDVDではこのワンダラーが用いられています。


今回は主にコインマジックで用いられるコインの種類について概要を記しました。

この辺のコインについては、コイン(1)アメリカコイン のサイトの方に詳細ありますので、参考にしてください。記事を書く上で色々検索すると、世の中、詳しい人がいっぱいいるのを実感しますね。

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