④までではカードの外見に関する知見を得るための雑学をお届けしましたが、今回はカードの表面に関する知識編となります。
まず、日本でカードのことをトランプと呼ぶようになった由来についてです。
元々は西洋でカードとかDeck of CardsとかPlaying Cardsと呼ばれているものを日本ではトランプと呼ばれます。これは元々切り札ということを意味しておりました。外国人がカードゲームをしているときにしきりに『トランプ』と叫ぶので、日本人はカードゲームのことを『トランプ』と呼ぶのだ、と勘違いし、今に至るようです。事の始まりは鹿鳴館時代の明治20年前後のこととのことです。
参考文献:松田道弘『トランプ・マジック』(1989)p.13筑摩書房
参考リンク:『トランプ-語源由来辞典』
トランプは52枚なのは1年が52週だから、という資料がありました。
参考リンク『実は意味があった!トランプに隠された5つの秘密』
また、スート(♤♡♢♧)については、14世紀後半から15世紀前半頃、昔から使われていたコイン、剣、杖、杯が今でいうクラブ、スペード、ダイヤ、ハートにデザインしなおされたとのことです。
しかし、イタリアでは一組40枚のトランプ 、スペインでは48枚のトランプで、昔ながらの杯、剣、コイン、杖という模様の物を使っているというような記載があります。
参考文献:(John Scarne "Scarne's new complete guide to gambling"(1986)p.625-636 Simon & Schuster, inc.)
ということで、トランプの枚数が1年を表す、という説はどうも無理があるようです。しかし、マジックのストーリーとしては何となくおしゃれですので、そういう説もあるとして使うと、何となく、いい薀蓄のように聞こえるのも確かです。本内容は見なかったことにして、その話を使っておきましょう。
トランプの由来についても、 原始的な妖術師が将来を占うために使っていた矢や四足獣の骨などが進化してできたもの、といったような内容含め、上記のJohn Scarneの本に色々歴史が記載されております。私はこれ以上英文読んで説明するのが面倒なので、興味のある人は元文献に当たって読んでください。
ジャック、クイーン、キングの絵札がありますが、これらそれぞれのスートごとにモデルがいるとのことです。
絵札の由来については
参考リンク:『トランプ(プレイングカード)について コラム』トランプの絵札、絵柄の人物
の解説に全面依存しております。
♤K スペードのキング「ダビデ王」(?~970BC)
♡K ハートのキング 「シャルルマーニュ」(742年~814年)
♧K クラブのキング 「アレキサンダー大王」(356BC~323BC)
♢K ダイヤのキング 「ジュリアス・シーザー」(100BC~44BC)
あまり気づきませんでしたが、ハートのキングだけひげがありません。どうも、最初に木版の原板を作った時に、職人がひげを誤って削ってしまったので、それ以来ひげなしのキングとなったようです(本当なんでしょうか?)
これら4人のキングは、西欧文化の基礎となった4つの文明「ヘブライ(イスラエル・ユダヤの別称)」「神聖ローマ帝国」「ギリシャ」「古代ローマ帝国」を表しているとのことです。 キングについて、「シャルルマーニュ」さんだけはあまりなじみがありませんが、他の方はさすがに日本でも有名な方々ですね。
♤Q スペードのクイーン「パラス・アテナ」(Pallas Athena)
♡Q ハートのクイーン 「ジュディス」(Judith)
♧Q クラブのクイーン 「アージン」(Argine、アルジーヌ)
♢Q ダイヤのクイーン 「ラケル」(Rachel、英語読みレイチェル)
クイーンについては聖書に登場する方や、有名な王の妻とかで、いまいちなじみがありませんが、まあそれはそれは素晴らしい方々のようです。
♤J スペードのジャック 「オジェ・ル・ダノワ」(Ogier le danois)
♡J ハートのジャック 「ラハイヤ」(La Hire)
♧J クラブのジャック 「ランスロット」(Lancelot)
♢J ダイヤのジャック 「ローラン」又は「ヘクトール」
ジャックは従者ということで、勇者揃いのようですが、こちらも歴史的には日本人にあまりなじみがないようです(私だけかも?)。
ということで、絵札の人物にかこつけたストーリーを作ってマジックをすると楽しくなるかもしれません。
ただし、これまで、全く本題の手品・マジックの話を行っていませんので、まだまだ道のりは遠いですが。
非常識なマジック入門講座としては、この辺の話は本筋ではないので、さっさとマジックをできるようになりたい方は飛ばしましょう、というのが結論です。
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