2016年8月25日木曜日

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第9巻) 大人数にマジックを見せる難しさ①(資料が少ないこと)DVD

どうしてもDVDの記事はDVD全て観てから書くため、結構億劫になってしまい、中々筆も進みませんが申し訳ありません(って誰に謝っているんですかね!?)

『カズ・カタヤマのステージ・サロンマジック入門講座』(第9巻)は
本格ロープマジック編 となります。


第5巻ではロープマジックのうち、結び目を作り、消えたり移動したりする現象をメインに解説されていましたが、第8巻では1本のロープが指や首など色々なところを貫通する現象、2本の紐をビーズや服の袖、リングなどに通して結んで外れるような『おばあさんの首飾り』と呼ばれる現象、ロープを切って復活させる現象の3大現象が解説されています。
5巻の内容と色々組み合わせると、独自のロープマジックが構成できます。
ロープマジックは道具の持ち運びが簡単な割に、少人数からお客さんに手伝ってもらうような大掛かりな内容まで色々対応できて便利です。

1本のロープの貫通
以下の現象は全て普通のロープを用いて行うことが出来ますので、周囲を取り囲まれても何の問題もありませんし、即席で行うことが出来ます。
・指を抜けるロープ

パズルチックな動きのマジックで、比較的クロースアップや少人数のサロンに向く内容です。
・腕を抜けるロープ1
お客さんの腕やマイクスタンドを用いて行います。 
輪ごむで行うクレイジーマンズハンズカフというマジックと原理は同じですが、サイズが大きい分、さらにビジュアルです。ちょっとしたアクセントとして行うマジックとしては良いかもしれません。
・腕を抜けるロープ2
輪っかにしたロープを自分の手首に絡めたロープが一瞬で解ける現象です。
・首を抜けるロープ
腕を抜けるロープ2で用いたロープを首に巻いて瞬間に外れるマジックです。輪っかにしないでも行えますが、輪っかにしたときと雰囲気が異なります。
・手を抜けるロープとハンカチ
演者の手にロープを巻き付けます。そのロープの内側からハンカチを巻き付け、お客さんにハンカチを結んでもらいます。一瞬でロープにハンカチが結ばれた状態で手から外れます。さらに息を吹きかけると、ロープからハンカチも外れてしまいます。

おばあさんの首飾り
こちらの内容はロープにちょっとした細工が必要ですので、即席にはできませんが、大舞台でも行えるような内容までカバーした表現ができます。
・二人の脱出

2本の長いロープで2人のお客さんを縛り、左右からロープの端を引っ張ると、一瞬でロープから抜けられます。
・ロープからの脱出
1人のお客さんに直径10㎝くらいの輪っかを持ってもらいます。長いロープでお客さんの体を縛り、輪っかにロープを通して結びます。左右からロープの端を引っ張ると一瞬で輪っか、お客さんがロープから脱出できます。
・上着の脱出
ジャケットの袖に2本のロープを通します。ロープの端を結んでしまいますが、左右の端を引っ張ると、ロープが上着の袖から貫通します。
・コーズ・オブ・ファンタジア
2本のロープでウォンド(マジックで使う杖状の棒)を結びます。左右にハンカチを2枚ずつ合計4枚ロープに結びつけます。さらにロープの端を1本ずつ持って真ん中で結びます。ウォンドを外して左右を引っ張ると、ハンカチが結ばれたままロープから外れてしまいます。
ウォンドを使うことによりロープの細工が不要となります。 
・リングの貫通
 コーズ・オブ・ファンタジアと同様に2本のロープとウォンドを使います。ハンカチの代わりに2色のリングを合計4本通します。お客さんの選んだ色のリングだけ分離してしまいます。
・ペーパーバッグ・ファンタジー
 これも同様に2本のロープに2枚のハンカチと2枚の輪っかを通し、4方向に小さな穴の空いた紙袋からロープ、ウォンドを穴から出します。ロープを結んでからウォンドを外し左右を引っ張ると、ハンカチと輪っかはロープから外れて袋の中に残ったままロープは袋の穴から貫通します。
・おばあさんのハンカチーフ
ロープにハンカチを結びつけたものをお客さんに握ってもらいます。その状態でロープをお客さんの手に結び付け、左右を引っ張ると、ロープが手から外れます。
・シルクの脱出
 コーズ・オブ・ファンタジアを一人で演じるヴァージョンです。2本のロープに3枚のハンカチを結びます。ロープを真ん中で結んでから左右を引っ張るとハンカチが3枚とも外れます。
音楽を付けた手順で行えます。
・身体を貫通するロープ
2本のロープをマジシャンの周りに巻き付け結びます。ロープの左右を引っ張ると、おなかを貫通して外れます。1人で行えます。


ロープ切り
・基本のロープ切り1

ロープの端と真ん中をすり替える基本的な方法です。
・基本のロープ切り2
基本のロープ切り1のセットアップをそのまま使うロープ切りで、完全に1本のロープに復活させます。
・基本のロープ切り3
ボブ・エリスの手順です。 真ん中を切ったように見せながら、最後は短いロープが外れて、1本のロープに復活します。
・8の字切り
輪にしたロープを二重の輪にした後、2か所をハサミで切りますが、一本のロープに復活します。レジナルド・スコットによる世界最古の奇術解説書『妖術の開示』にも解説されているとのことで、クラシックなマジックです。
・輪にしたロープ切り
ロープの輪を連ねて結んでいき、4つの輪が連なったような形とし(4つ以上作ってもOKです)、それぞれの輪っかの真ん中を完全にハサミで切断します。完全に切り離されたように見えたロープが一瞬で結び目が飛び散り、一本のロープに復活します。完全に切断しているのが分かるので、非常に不思議です。ただし、復活したロープが極端に短くなってしまうのが難点なので、ロープ切りの最後に演じるのに向いています。8の字切りに続けて演じることが出来ます。
・【ボーナス・トリック】完全なロープ切り 
 一本のロープを真ん中からお客さんにハサミで切ってもらいます。完全にバラバラになったことを示しますが、一瞬で元の一本のロープに復活します。ギミックを用いますが、非常にビジュアルな現象です。


“ステージマジック基礎講座⑨”は視線の使い方となります。 
視線を固定したり動かしたりすることで、マジシャンの自信や不安を表現出来たり、また前回までの基礎講座でもあったミスディレクションを効果的に行うことが出来たりします。

ロープマジックは何となく地味なイメージでしたが、映像で現象を見ると、結構はっきりと切ったロープが復活したり、貫通したりするのが表現できて、やってみたくなりました。
即席で行えるマジックがほとんどですので、クロースアップマジックメインの人でもレパートリーに入れやすいと思います。